巣鴨課長:24時間365日のサービスを実現するなら、運用部門とも折衝しないといけない。情報システム部門だけで決められることではない。あとね、「スピード感」の位置付けだ。今のご時世、「先手必勝」は重要だよね。でも、ウチの経営方針はそうだったかな。
千石君:壁に張ってあるこれですね。
- いつでも ~毎日使っていただく~
- いつまでも ~長く使っていただく~
- どんなものよりも ~数を求めず、質を求める~
- 丁寧に ~焦らずに、じっくりと~
- お客さまとともに育む ~食文化を育む~
巣鴨課長:そう。そうすると「納期の即時回答」や「早くサイトを立ち上げて、販売できる商品から段階的に提供していく」ことに重点を置く姿勢がよいことなのかを考える必要があるね。特にこれからはオーダーメイド製品の販売に注力する。スピードを重視するあまり、お客さまの“要件以下”の製品を売ってしまったら、二度と買ってはもらえない。それどころか、これまで培った信用を一気に失うよ。
千石君:僕、前のめりですね。
巣鴨課長:とんでもない。積極的な姿勢は重要だよ。そのほかの要件定義については別の日に説明しよう。お疲れさま。あと、1カ月の残業時間は100時間を超えないようにしてね。
●要件定義に悩むユーザー企業担当者必携の一冊
ユーザのための要件定義ガイド ~要求を明確にするための勘どころ~
ユーザのための要件定義ガイド(1574円+税)
要件定義についてもっと詳しく知りたい人は、IPA/SEC編の『ユーザのための要件定義ガイド ~要求を明確にするための勘どころ~』を入手してほしい。
本書は、主にユーザー企業でITシステムの要件定義を実施する読者を対象に、要件定義において発生する問題と、その解決方法をまとめたガイドブックだ。
システム開発で発生する問題の半分は、「要件定義」の不備に起因していると言われている。要件定義の不備は、工程が進めば進むほど修正に多大な労力が必要となる。要件定義を行う課程では、明確な目標の設定、膨らむ要求のコントロール、業務の複雑性の軽減、多様なステークホルダーとの合意など、さまざまな課題に直面する。これらを適切に対応すれば、「工程進行後に多大な修正が発生する」といった問題の発生を抑制できる。
本書では、こうした問題について、熟練した有識者がこれまでのプロジェクト経験から「ありがちな間違いとその解決策の勘どころ」を、具体例を挙げて分かりやすく解説している。
本書は一般書店にて、1574円(税別)で販売しているほか、IPA/SECのサイトからもPDF版を無償でダウンロードできる。本連載と対応させながら、ぜひ読んでほしい。
- 山本 英明
情報処理推進機構 技術本部ソフトウェア高信頼化センター システムグループ 研究員
1992年、NTTデータに入社。金融システム事業本部で金融機関への企画提案やシステム開発に携わる。2014年に、技術開発本部へ異動後、レガシーモダナイゼーションに関する研究開発を行い、2016年から現職。
IPA/SECではシステム構築上流工程強化部会およびシステム化要求WG、モダナイゼーションWGの事務局を担当。『ユーザのための要件定義ガイド』と『システム再構築を成功に導くユーザガイド』の発行に携わる。