--企業ITの領域でどういうメリットを出せるか。情報システム部門はブロックチェーンをどうとらえればいいか。
ブロックチェーンの「消せない」「落ちない」「安い」という優位性が生かせるところに入れればいいと思います。全てのデータベースがブロックチェーンに置き換わるとは全く思っていません。例えば、飛行機の制御系などレスポンスが求められるところのデータベースは変わらないでしょう。キーバリュー型データベースもあり、それぞれの特性があったものを当てはめていけばいいのではないでしょうか。
やや繰り返しになりますが、情シス部門はブロックチェーンを「新しいデータベース」として認識してもらえればいいと思います。成果がいち早く出せそうなのはやはり金融機関です。ウェブサービスのゲーム内のコインが消えても謝れば済むかもしれませんが、「お金が消えてしまう」というのは死活問題です。
銀行向けのシステムで残高がなくなるとか“ファイナリティ”を担保する機能を持っていないというのはどうしようもないと思います。
ブロックチェーンの「消せない」「落ちない」「安い」という特性を考えると、「絶対に消えてはいけない情報」を扱っている保険を含めた金融、不動産、政府などが当てはまります。ポイントシステムの実証実験などをプレスリリースで目にしますが、リレーショナルデータベースでやればいいと思ってしまうのはこのためです。
ブロックチェーンは流行っていますが、適材適所なので無理に導入する必要はないと思います。それでも上司にブロックチェーンをやれと言われたら、データ移行の問題があるので、新規サービスで実証実験からはじめるのがよいのではないでしょうか。
想定される「miyabi」 の活用事例(bitFlyer資料から引用)
--miyabiの反応は。
好評をいただいてますが、エンジニアなどリソースも足りていないので社会的インパクトの大きい領域から優先順位をつけている状態です。リソースを補うためにエンジニアを自社で育成しようとしています。(ブロックチェーン案件に必要な)「暗号技術とプログラムができて昔からビットコインやっている」みたいな人はほとんどいないので、技術力の高いエンジニアにブロックチェーン開発に必要なことを教育していこうと思います。アルゴリズム開発なので数学科の博士号をもっていてプログラムに長けているなどの要素が必要です。一般のエンジニアというよりはやや研究者ぽい人ですね。