MWC 2017

5Gの機運高まる--インダストリー4.0やデジタル変革が後押し - 8/11

末岡洋子

2017-04-14 07:30

 3月2日までスペイン・バルセロナで「Mobile World Congress 2017」が開催された。通信業界のイベントだが、Industrie 4.0や自動運転車といった産業界のトレンドは、無線通信技術なしには成立しない。産業界全体が、より大容量、高速、低遅延が期待される「5G」への期待を寄せており、MWCの重要なテーマとなった。

 5Gは、現在のLTEおよびLTE-Advancedの次の世代の移動通信システムで、2020年に商用化が見込まれているものだ。これまでの世代は主としてコンシューマーが手にする携帯電話に向けたネットワークだったが、5Gでは性質が大きく変わる。モノがつながるIoT時代のネットワークとしての役割が加わるのだ。コネクテッドカーや自動運転、交通システム、電気/水道などのスマートメーター、ヘルスケア、工場、教育など、IoTのユースケースは多数ある。

 もちろん、コンシューマーにも、4K動画をスマートフォンで楽しみたい、動画をソーシャルネットワークで共有したいなどのニーズがあり、モバイル通信に対する需要は高まるばかりだ。このような背景から、5Gの要件として、1000倍の容量、速度は現在の100倍の10Gbps、遅延は1ミリ秒以下、同時接続端末は100倍などが挙がっている。

 このようなトレンドもあり、今年のMWCには10万7000人が来場した。展示エリアにはおなじみのスマートフォンメーカー、通信機器メーカーなどに混じって、SAP、Oracle、VMware、IBM、Dell EMCといったエンタープライズベンダー、BMWやPeugeotといった自動車メーカーもブースを構えた。

 自動車は自動運転に向けた各社間の競争もあってか、5Gや最新のモバイル通信技術のデモにも多数登場した。例えばEricssonのブースでは、5Gネットワークを利用した遠隔運転を見せた。会場から約50キロメートル離れたところにある自動車を会場にあるハンドル、アクセル、ブレーキを利用して運転するというもので、5Gの要件である低遅延がなければ難しいユースケースだ。遅延は、会場のモニターに映る画像のコーディング分の40ミリ秒を含むと、50ミリ秒程度とのことだった。

Ericssonが描く5Gに向けたオペレーターのシステム

固定と無線が同じコアを利用することで、同じプラットフォーム上で管理、マネタイズ、オペレーション、オーケストレーションが乗ることになる。その上にアプリケーションが乗るが、オープンなアーキテクチャになることでアプリケーションは”オーバー・ザ・トップ”の機能となり、これまでのように特定のオペレーターに向けたものではなくなる。一例として、EricssonではグローバルキャッシングソリューションUDNを提供している。

このような通信事業者の新しいアーキテクチャはITで起こったトレンドを取り入れた結果だが、これが通信分野に入ることで、チップベンダーの力関係の変化も感じた。Ericssonは2015年に発表したデータセンター向けのサーバー「HDS 8000」でIntelのRack Scale Architectureを採用、主要な顧客であるオペレーターに対し、デジタルトランスフォーメーションを呼びかけている。

MWCでIntelはEricssonと「5G Innovations Initiative(5GI2)」として業界のユースケースを加速するイニシアティブを発表した。Ericssonのブースでは、Intelのターミナルを用いて5Gで利用が想定されている28GHz帯のカバレージ補強のためのビームフォーミング技術のデモを行っていた。また、”Distributed Cloud Infrastructure”として、コンピューティング、ストレージ、ネットワークのリソースが必要に応じてロボットにより自律的に組み込まれる将来のシステム構想を見せていた。

Ericssonが描く5Gに向けたオペレーターのシステム

固定と無線が同じコアを利用することで、同じプラットフォーム上で管理、マネタイズ、オペレーション、オーケストレーションが乗ることになる。その上にアプリケーションが乗るが、オープンなアーキテクチャになることでアプリケーションは”オーバー・ザ・トップ”の機能となり、これまでのように特定のオペレーターに向けたものではなくなる。一例として、EricssonではグローバルキャッシングソリューションUDNを提供している。

このような通信事業者の新しいアーキテクチャはITで起こったトレンドを取り入れた結果だが、これが通信分野に入ることで、チップベンダーの力関係の変化も感じた。Ericssonは2015年に発表したデータセンター向けのサーバー「HDS 8000」でIntelのRack Scale Architectureを採用、主要な顧客であるオペレーターに対し、デジタルトランスフォーメーションを呼びかけている。

MWCでIntelはEricssonと「5G Innovations Initiative(5GI2)」として業界のユースケースを加速するイニシアティブを発表した。Ericssonのブースでは、Intelのターミナルを用いて5Gで利用が想定されている28GHz帯のカバレージ補強のためのビームフォーミング技術のデモを行っていた。また、”Distributed Cloud Infrastructure”として、コンピューティング、ストレージ、ネットワークのリソースが必要に応じてロボットにより自律的に組み込まれる将来のシステム構想を見せていた。

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