本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、トレンドマイクロのEva Chen 代表取締役社長兼CEOと、シスコシステムズの高橋慎介 専務執行役員の発言を紹介する。
「進化するセキュリティ脅威に柔軟に対応できる態勢が必要だ」
(トレンドマイクロ Eva Chen 代表取締役社長兼CEO)
トレンドマイクロのEva Chen 代表取締役社長兼CEO
トレンドマイクロが先頃、2017年の企業向け事業戦略について記者説明会を開いた。Chen氏の冒頭の発言はその会見で、新たなパートナーとの連携形態について語ったものである。
同社が2017年の企業向け事業戦略における注力ポイントとして挙げたのは、「先進技術とこれまでの実績を融合した防御アプローチによるセキュリティソリューションの提供」「セキュリティの運用・監視サービスを提供するマネージドセキュリティサービス(MSS)パートナーとの連携強化」「Internet of Things(IoT)向けセキュリティソリューションの提供」の3つ。
全体の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは2つ目のMSSパートナーとの連携強化に注目したい。
Chen氏によると、企業規模によって異なるセキュリティ課題を解決するためにMSSパートナーと連携し、顧客の環境に最適なセキュリティソリューションの提供を推進するという。
具体的には、中小企業にはエンドポイントやネットワークのセキュリティをSaaS型で提供し、顧客のITインフラを包括的に運用・監視するパートナーと協業し、主に標的型サイバー攻撃・ランサムウェア対策製品の販売促進を行う。
中堅・準大手企業にはクラウド/仮想化関連のグローバルアライアンスパートナーおよび国内パートナーとの連携を強化し、クラウドやオンプレミスなど多種多様なサーバのセキュリティ向上を支援。大手企業には標的型サイバー攻撃に対するセキュリティソリューションを提供し、複数のセキュリティ製品を運用・監視するパートナーと協業することで標的型サイバー攻撃に対するユーザーのセキュリティ強化を支援するとしている。
そのうえでChen氏は孫子の兵法から、「水は地に因りて流れを制し、兵は敵に因りて勝ちを制す。ゆえに兵に常勢なく、水に常形なし」との一文を引用しながら、「戦略というのは敵によって形状を変えないといけない。環境の変化によって戦い方を変える必要がある。これはサイバーセキュリティ脅威に対しても同じことが言える」と説いた。(下写真参照)
孫子の兵法が説く「守る者と攻める者との戦い」