IDC Japanは4月13日、国内企業のIT支出元に関する分析結果を発表した。2017年はIT支出全体の32.1%にあたる3兆7697億円を事業/業務部門(Line of Business:LOB)が占めると予測している。
ITの支出元は大きくIT部門とLOBに分かれ、IDCでは2020年までにLOBによる支出が年平均3.1%、IT部門による支出が同1.3%で拡大すると予想する。2017年のIT部門による支出は、全体の67.9%にあたる7兆9562億円とみている。
同社は今後、LOBとIT部門が連携して新たなIT活用やビジネスモデルを展開するITプロジェクトが増えていくと予想する。LOBによる支出割合が高い分野は、組立製造やプロセス製造、小売り、情報サービス、建設/土木分野。製造や建設では、エンジニアリングや固有業務におけるソリューション導入の決定権がLOB側にある傾向がみられ、小売りと情報サービスではマーケティングやカスタマーサービス、営業支援の領域を中心に、LOB主導による導入傾向が強いという。
また企業規模別では、従業員100人未満の企業でLOBによるIT支出が7割前後に上り、同1000人以上の企業では逆にIT部門による支出が7割以上を占める。LOBによる支出の割合が高いのは、エンジニアリングやアーキテクチャ、リサーチ、マーケティング、営業、サプライチェーンなどで、IT支出全体の4~5割を占める。
同社は、企業でIoTや人工知能(AI)、拡張/仮想現実(AR/VR)といった技術を活用する実証実験などを進められても、事業化などに結び付いていない実態があると指摘。その理由としてこれらの取り組みがLOB単独で進められ、IT部門などの積極的な関与がないことなどに起因すると分析する。
国内IT市場 支出元別 支出額予測、2016~2020年(出典:IDC Japan)