経営者やビジネスにおけるITの重要性は高まる一方といえる一方で、企業の最高情報責任者(CIO)の設置率は一向に上がっていないという実態が明らかになりました。今回は、国内企業のCIOの実態と必要性について考えてみたいと思います。
専任CIOの設置はわずか1割程度
まずは、ITRが実施する「国内IT投資動向調査2017」の結果から国内企業のCIO設置状況を見てみましょう(図1)。全体の平均では、専任のCIOを設置している企業はわずか11.4%、兼任を置いている企業が40.6%となっており、約半数近い企業ではCIOはいないと回答しています。
図1:従業員規模別にみるCIOの設置状況
出典:ITR(出典:ITR「国内IT投資動向調査2017」2016年9月実施:回答数2,643件)
実は、この調査は16年続いているもので、2001年に実施した調査でも同じ質問をしています。「国内IT投資動向調査2002」によると、専任のCIOを設置している企業は10.5%、兼任を置いている企業が38.9%、CIOがいないと回答した企業が50.7%となっています。ある意味驚きの結果ではないでしょうか。CIOの設置状況という点では、15年前とまったくと言っていいほど変わっていないのです。
ちなみに、兼任を置いていると回答した企業に絞って、CIOがどのような部門を兼務しているかも問うています(図2)。
図2:兼任CIOが兼務する部門(複数回答)
出典:ITR(出典:ITR「国内IT投資動向調査2017」2016年9月実施:回答数1,072件)
経営企画、総務、財務、人事といった一般にコーポレート部門と呼ばれる部門を兼務しているCIOが多いことが分かります。この状況も15年前とほとんど変わっていません。組織は経営の意思を映す鏡といえます。CIOを設置していない企業では、ITが経営レベルの判断を必要とする課題だと捉えられていないことを意味します。