ミッションクリティカルもクラウド上に
カナダロイヤル銀行からは、オペレーション担当グループトップのBuce Ross氏が21日の基調講演で、IBMの最高経営責任者(CEO)、Ginni Rometty氏に招かれてステージに上がった。
カナダロイヤル銀行ではすでに30種類のBluemixアプリケーションを運用環境で動かしており、この中には1200万人の登録者を抱えるオンラインバンキングなどミッションクリティカルなアプリも含まれているという。「この6カ月で、過去20年分のデータを自社のデータレークに入れた」とRoss氏はデジタル化の取り組みを語る。
クラウドで重視するのは、PaaSレイヤだ。「競合優位性はIaaSではない」とRoss氏。Bluemixをローカルとクラウドにおき、シームレスに行き来するという構図を描いており、BlueMix Garageを利用するなど「統合はIBMに任せ、我々はマイクロサービスにフォーカスする体制を整えている」という。
Watsonはどのぐらいの仕事を奪うのか?
コグニティブについては、「これまで郵便番号など曖昧なマーケティングだったのが、1-1になる」と期待を寄せる。同行には30カ国に1200万人の顧客がおり、一人一人にあった商品の提案は今後の成長に欠かせないとした。

カナダ最大手のカナダロイヤル銀行のオペレーションを統括するBruce Ross氏とIBMのCEO、Ginni Rometty氏(左)。Ross氏は「これまでのデジタル化ではなく、新しい企業にならねければ」「銀行の看板を下げたIT企業」と自らを語った。
三菱UFJの村林氏はAIでの取り組みについての質問に対し、「7年ぐらいで本部業務のプロセスのうち5割はAIに置き換え可能とみている」とコメントした。三菱UFGではWatsonだけでなく、財務分析のゼノデータ・ラボなどの技術も使っており、AIを専門とするチームを近く立ち上げて促進する計画だという。課題としては、日本語対応を挙げた。