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日本株展望

北朝鮮リスクで円が買われるのはなぜ?

ZDNet Japan Staff

2017-04-18 11:01

今日のポイント

  1. 北朝鮮リスクやトランプ発言、米金利低下などが足元、円高が進んだ背景にある
  2. 対外純資産世界一で、経常黒字が定着している日本の通貨「円」は、世界の金融市場で不安が高まる局面では、投資マネーの逃避先となる

 これら2点について楽天証券チーフグローバルストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

3月以降、円が買われた背景

 3月以降、円高が進んだ背景を説明する。

 円が買われているのは、北朝鮮リスクだけが原因ではない。複雑な要因が絡み合っている。北朝鮮リスクを含め、以下の3つが円高要因となった。

(1)安全資産「円」へ世界の投資マネーが逃避→北朝鮮暴発リスクだけでなく、世界中のあらゆる地域の不安が円高要因に寄与

 東アジアで有事リスクが高まったと判断されている。北朝鮮暴発リスクに加え、中国の海洋進出をめぐる米中対立の激化が背景にある。米軍は、シリアのアサド政権やアフガニスタンのIS拠点に相次いでミサイル攻撃を行い、北朝鮮がレッドラインを越えたと見なされれば攻撃すると述べている。

 25年以上前は「有事のドル買い」という言葉が有名だった。地政学リスクの拡大時にはドル高(円安)が進んだ。ところが、15年くらい前から「有事の円買い」に変わった。

 地政学リスクだけでなく、リーマンショックや東日本大震災、ブレグジット(英国のEU離脱)可決など、世界の投資家の不安心理が高まるあらゆるイベント発生時に、円は世界のマネーの逃避先として買われるようになった。円が安全資産となる理由は後半で説明する。

(2)トランプ発言「ドルは強過ぎる。(米国の)金利は低い方が望ましい」

 トランプ大統領が4月12日にドル高と米利上げを牽制する発言を行ったことが円高要因となった。トランプ大統領は、大統領選の最中に円安と円安(ドル高)を招く米利上げを繰り返し非難していた。

 大統領に当選後、日米首脳会談を経て、日本を友好国と見なすようになったことから、円安を直接批判することはなくなった。ところが、米製造業を苦しめるドル高と利上げを問題とする持論は変わっていない。いずれ、ドル高批判のトーンを高めてくる可能性もある。

 過去の経験則では、米国が円安を問題視して政治圧力を加えてくると円高が進みやすくなる。1985年9月のプラザ合意後の円高、2016年前半の円高が米国の政治圧力で急激に円高が進んだ代表的事例だ。

(3)米景気指標の一部軟化と米長期金利の低下

 4月に発表された3月の米景気指標の一部(雇用統計、ISM製造業景況指数、自動車販売など)に軟化が見られた。米景気は好調との見方に若干揺らぎが生じた。

 また、トランプ大統領の支持率低下を受け、トランプ政権がやろうとしている景気刺激策の実行可能性にやや疑義が生じた。

 米長期金利は、3月15日に米FRBが利上げを実施するまで上昇していた。ところが、利上げ後は、景気指標の軟化と景気刺激策実行への期待低下を受けて、米長期金利は低下している。

米長期金利の動き:2016年8月8日~2017年4月17日

米長期金利の動き:2016年8月8日~2017年4月17日

 3月15日まで日米金利差拡大の思惑で円安が進んでいたが、米金利低下によって、金利差拡大の思惑が低下し、円高が進んだ。

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