デジタル変革は、企業が既存のプロセスを新しい視点で評価し直し、新たなテクノロジと新しい考え方の力を借りて作り直すプロセスだ。
その目的は経費節減かもしれないし、より深く顧客を理解することかもしれないし、新たな収入の柱を生み出すことかもしれない。その概念自体は比較的シンプルだが、実行に移すことは難しい。この記事では、デジタル変革推進プロジェクトに伴ういくつかの問題について考えてみたい。
マーケティング:いかにデジタルファーストの姿勢を生み出すか
Econsultancyの調査ディレクターJim Clark氏は、マーケティングのプロフェッショナルにとって、2017年の最優先事項は、顧客体験(CX)だと述べている。Clarke氏はその裏付けとして、同社が最近公表したレポート「Digital Trends 2017」からいくつかのデータを引用している。この調査は、世界のマーケティングプロフェッショナル1万4000人を対象として実施されたものだ。回答者の4分の1近く(22%)は、CXが2017年のもっとも重大な関心事だと答えている。
ただしClark氏は、優れた顧客体験を実現するのは必ずしも簡単ではない、と述べている。経営陣は、事業部門がデータを統合された形で利用できるような仕組みを用意する必要がある。同氏は、ロンドンで開催されたAdobe主催の「Digital Trends 2017」フォーラムで、「CXそれ自体は重要だが、マーケティングのプロフェッショナルは、いまや戦略として体験をどのように実現するかを考える必要がある」と語った。
幸い、企業の半数近く(46%)は、自社のマーケティングの取り組みにデジタル化が浸透していると考えている。Clark氏は、クラウドやSaaS(サービスとしてのソフトウェア)へのアクセスが容易になったことで、マーケティング担当者がビジネスプロセスや顧客体験を改善しようとする際に、簡単にデジタル技術を利用できるようになったと述べている。
また、知見を共有するためのテクノロジに対する関心も高い。マーケティングプロフェッショナルのほぼ半数(49%)は、2017年中にアナリティクスに対する投資を増やす予定だ。ただしこの調査で、デジタル変革は単純なプロセスではないことも明らかになった。2015年には、マーケティング部門の責任者のうち14%が、所属企業はデジタルファーストな組織だと回答していたが、今回の調査ではその数字が11%に低下した。
「組織の文化を全面的に変えるためには、顧客を理解することと、トレンドをビジネスと結びつけることの両面で、適切なスキルを持っていることが重要だ」
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