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トップインタビュー

「タレントマネジメント市場を作り直す」コーナーストーン飯島氏 - (page 3)

三浦優子

2017-04-20 08:00

 もちろん、全面的にタレントマネジメントを導入する場合には、制度設計や会社の仕組みの変更が必要になるケースはあります。企業のトップとお話をすると、「会社の仕組みを変更する際、ゼロからではなく、ベストプラクティクスがあるのであればそれを活用したい。その方が短期間に効果的に人事の仕組みを変えることができる」と判断されるケースもありました。

 ERPだけでなく、グループウェアが日本に登場した時にも、商品コンセプト自体が新しいものだったために、なかなか理解してもらえなかったという経験を私自身がしています。あの時には、三菱商事の社長、会長を歴任された槇原(稔)さんがいち早く価値を認めてくれました。「これで生産性が上がるね」と言ってくださったので、メディアでその話をしてもらう仕掛けを行いました。その結果、「グループウェアを導入していない企業は競争に勝てなくなる」という機運が生まれ、普及が本格化したのです。

――やはり、導入には経営層に訴求することが必要ということですね。

 それが早道ではありますが、人事部門の方先導によって、一部のアプリから導入することも可能です。最初から全部導入しようと思わず、まず一部から導入して頂いても問題ありません。日産自動車はまさに全部ではなく、一部から導入されています。

 ただ、導入後の効果としてデータを貯めていけば貯めていくほど、予測機能が働くようになります。その予測に応じて、最適なキャリアパスを提示する、必要な人材を探すといったことが可能となってきます。ビッグデータ、AI(人工知能)といったテクノロジがタレントマネジメントにマージされ、利用されるようになっていくと思います。

 タレントマネジメントにAIを活用するというと、「機械に部下の将来を占ってほしくない」という意見が出ます。従業員のデータを可視化していきましょうという提案に対しても、「見張られているような気持ちになる」という意見が出ます。

 しかし、「人を育てる」というとエグゼクティブ候補を育てると思われがちですが、本当にそれだけでいいのでしょうか? これまで日の当たっていなかった従業員は、正しく能力が評価されていなかったからかもしれません。

 社内SNSを導入したところ、実は有能な人材が社内で認識されていなかっただけだったというケースもあります。また、ミスマッチな部署で働いていたため、本来の能力を発揮できていなかった従業員もいるかもしれません。

 これまでの1年に5分、10分面接をするだけでなく、これまではやってこなかったアプローチでコミュニケーションを取っていくことで、従業員の色々な側面を評価できるようになっていくはずです。

 従業員にとっても、自分の評価がそんなに短時間の面接で決められていいのか。そんなことを考え直すきっかけとしてもいいと思いますよ。

 従業員は自分の能力をきちんとアピールし、理解してもらう。企業側も従業員の適正を見て、正しいキャリアパスを提供する。タレントマネジメントがそういう企業風土へと変わっていくきっかけになるかもしれません。

――見張られているということに抵抗を感じる人も多いでしょうが、上司と自分のキャリアパスについて話し合う時間が年間に数十分だけでよいのかと考える人も増えているでしょうね。

 蓄積されたデータを活用することで、従業員にとって最適なキャリアパスを予測し、必要な学習を提供するといったお話をすると、「機械に部下の将来を占ってほしくない」と仰る方もいます。

 私はそういう声も含めて大変有り難いことだと思っています。改めて、人事というものに興味を持つきっかけとなる可能性があるからです。

 例えば、「機械ではなく人間が最適なキャリアパスを考えた場合、どんなメリットがあるのか?」といったことを改めて社内で話し合う。こうしたやり取りを通じて、自分の会社の人事システムを見直すことにつながればいいのですが。日本では人事のようなバックオフィスのシステムは可視化されていませんでしたが、それでよいのかを含め考え直すタイミングになっていると思います。

――おそらく、今のお話を聞いて、経営者の方だけでなく、従業員側でも「可視化されている人事」に共感を持つ人は多くなっていると思います。ただし、これまで使われてきた「タレントマネジメント」という言葉が、なかなか日本には馴染まないような気がするのですが。

 そうですよね。そういう意味では「HR Tech」の方がいいのだろうか、とも思いますが。何か良いアイデアがあれば、アドバイスを頂けると有り難いです。

 しかし、困ってしまうのは欧米ではすでにタレントマネジメントという言葉が定着し、利用されていることです。日本だけ別な名前をつけて、それが普及してしまうとガラパゴス状態になりかねないという危険もはらんでいるんです。そういったことも踏まえて、何か良いアイデアがありましたら、アドバイスをいただけると有り難いです。

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