政府は4月18日、東京都や経済団体と連携し、2020年の東京五輪を契機とした働き方改革の運動を展開すると発表した。7月24日を在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務など「テレワーク」を推奨する「テレワーク・デイ」と位置付け、総務省や厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府などが連携して普及を推進するという。テレワーク・デイに参加する企業数1000社を目標にしている。
総務省 情報流通行政局 情報流通振興課長 今川拓郎氏
テレワーク・デイ推進の背景は2012年に開催されたロンドン五輪という。2012年、ロンドン市と交通局が五輪大会中、交通混雑によって市内の移動に支障が生じるという予測を発表し、テレワークを呼び掛けたところ、市内の企業の約8割がテレワークを導入することになった。
ロンドンの成功事例にならい、2020年の東京五輪開会式が開催される予定の7月24日を2017年からテレワーク・デイとして、多くの企業や団体、官公庁がテレワークを一斉に実施するよう呼びかけると説明した。
テレワークをライフステージに応じて生活スタイルに合った働き方を実現できる「働き方改革」の切り札と位置づけ、2020年の東京五輪に向けた毎年の国民運動として展開することにより、2020年のレガシーの一つとしてこうした働き方を定着させることを目指すとしている。
テレワーク・デイの実施で交通機関にどのような影響があったかを計測し、大規模なテレワークが可能な企業に対しても、効果測定などへの協力依頼する予定。
テレワークは広まるか
一方で、テレワークに関して導入を検討してない企業も多い。総務省 情報流通行政局 情報流通振興課長 今川拓郎氏は、経団連などに加盟する大企業を中心に、働き方改革とともにテレワークを推進する潮流があると説明する。
今川氏自身も、普段仕事をする際、「ファーストコンタクトは面と向かって会ったほうがいいかもしれないが、信頼関係ができた2回目以降はテレビ電話でも問題ないというケースも多い」と感じているという。
また、テレワークをきちんと導入するために、「労働時間ではなく、成果で人事評価する環境が必要であること」「テレワーク従事者と簡単に連絡がとれるIT環境を構築すること」を挙げた。
総務省も「Skype for Business(旧Lync)」を利用して、テレワーク対象者とその上司がいつでもチャットやテレビ会議で連絡をとることができる体制を構築しているという。
今川氏は、子供が生まれた時や介護の必要が出てきた時など、人生の節目でさまざなテレワークのニーズがあると説明する。「職場でないところで仕事ができるという環境を整えないと人口減社会の日本では労働力を維持できない」(今川氏)。
学生が就職活動する際や、女性が仕事で活躍できるか否かを評価する指標として「テレワークが可能かどうか」をみるようになっている状況がある点を主張していた。
テレワークを導入するメリット(総務省提供)