Dockerの最高経営責任者(CEO)Solomon Hydes氏は、米テキサス州オースティンで開催中の「Dockercon 2017」で、Dockerは「一枚岩ではなくプロジェクトの集合体だ」と語った。その最新プロジェクトの1つが、「LinuxKit」だ。LinuxKitは、コンテナランタイムを実行するために、安全で、ポータブルで、スリムなOSを構築するためのツールキットだ。
このツールキットを使えば、「Windows」や「macOS」、クラウドプラットフォームなどでも、ネイティブな使用感でDockerのコンテナを実行できる。このプロジェクトは、半導体設計のARM、インフラプロバイダーのHPE、MicrosoftやIBMなどのクラウドプロバイダーを含む、大手IT企業の協力で開発された。LinuxKitは、Linux Foundationが管理するオープンソースプロジェクトとして公開される。
Dockerによれば、LinuxKitは「コンテナを前提に設計されているため、極めて安全なLinuxサブシステムを作ることができる。システムデーモンを含め、すべてのプロセスはコンテナ内で実行されるため、ユーザーは必要なサービスだけを持つLinuxサブシステムを組み立てることができる」という。
DockerのエンジニアJustin Cormack氏は、ブログ記事の中で、「LinuxKitには、まさにランタイムプラットフォームが必要とするコンポーネントを含むだけの専用Linuxサブシステムを構築するためのツールが含まれている。すべてのシステムサービスは置き換え可能なコンテナであり、必要でないものは取り除ける。すべてのコンポーネントは、特定のニーズに合ったものと交換可能だ」と述べている。
LinuxKitは、DockerプラットフォームにLinuxをバンドルすることでこれを可能にした。これによって、macOSやWindowsなどネイティブLinux環境を持たないプラットフォームで、Linuxコンテナをサポートしたいユーザーが、これらのOSで実行できるようになる。
基本となるLinuxKitのディストリビューションは小さい。35Mバイトしか必要とせず、起動時間も極めて短い。ポータビリティも高く、デスクトップPC、サーバ、IoT、メインフレーム、ベアメタル、仮想化システムで使用できるようにすることを目的としている。
どこかで似たような話を聞いたことがあると思った人もいるだろう。Dockerに適した軽量なOS「Alpine Linux」は今後もなくなるわけではない。LinuxKitとAlpine Linuxには、類似点も多い。もっとも大きな違いは、LinuxKitがさらに柔軟でカスタマイズしやすいものを目指していることだろう。
DockerのセキュリティディレクターNathan McCauley氏は、ツイートで「LinuxKitのルーツはAlpineにある。Alpineが強くなれば、LinuxKitも強くなる。Dockerは今後もAlpineへの投資を続ける」と明確に述べている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。