今日のポイント
- 北朝鮮の民主化は簡単には進まない。しばらく、北朝鮮が相場の波乱材料として続きそうである
- 日本株は割安で長期的に投資していく価値があると考えているが、リスク材料は多く、短期的な下値リスクは残る。定時定額の積み立てなど、時間分散して投資するのが良いと考えられる
これら2点について楽天証券チーフグローバルストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
真偽は全く不明ながら「中国当局が金正恩氏に亡命するよう説得」との噂も
噂の出所は、4月10日付け朝鮮日報(韓国で発行部数最大の情報紙)だ。以下の話が出ている。
「最近出回っている情報紙には『4月末までに中国が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の亡命を説得し、失敗した場合には米国が先制攻撃を加える』といった内容が書かれている」
この報道は出所が明確でなく、単なる憶測である可能性もある。ただ、まったくあり得ない話ではないと思う。
北朝鮮を長年にわたって擁護してきた中国は、金正恩政権の暴走に「もはやかばい切れない」と考え始めている可能性がある。脱北者(北朝鮮から韓国などへの亡命者)の弁から、北朝鮮経済は著しく困窮し、食糧も十分になく、金正恩政権の恐怖政治に反発が広がっているとの見方もある。
かなり楽観的な見方となるが、中国が北朝鮮擁護をやめ、金正恩政権で内部崩壊が始まるならば、北朝鮮問題が一気に解決に向かう可能性もある。ベストシナリオは、米軍が北朝鮮を攻撃する前に、金正恩委員長が中国を通じて亡命することだ。
ただし、今まで長年にわたり「北朝鮮はいずれ内部崩壊」と語られ続け、それが実現しなかったことから、金正恩政権が簡単に内部崩壊するとは、にわかに信じ難いところだ。
仮に中国が金正恩氏に亡命を打診したとしても、現時点では、拒否される可能性が高いと考えられる。そうなると、米国は先制攻撃をするだろうか?
米軍が先制攻撃するとどうなる?
米国は、北朝鮮がレッドラインを越えたと判断すれば、北朝鮮の軍事施設に先制攻撃をかける可能性があると警告している。「レッドラインを越える」とは、米国または米軍基地が核攻撃の危険にさらされていると判断できる状況を北朝鮮が作るということだ。具体的には、北朝鮮が(1)米国まで届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験に成功する、(2)さらに核実験を繰り返す――などが考えられる。
それでは、仮に米軍が北朝鮮の軍事施設を先制攻撃したとして、金正恩政権を崩壊させることはできるだろうか。あるいは、金正恩政権は崩壊せずに事態が泥沼化するだろうか。現時点でまったく想像がつかない。
決め手となるのは、金正恩政権の内部崩壊がどれだけ進んでいるかによる。内部崩壊が進んでいなければ、米攻撃後に事態は泥沼化するだろう。内部崩壊が進んでいれば、米攻撃をきっかけに北朝鮮が変わる可能性もある。