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日本株展望

「2月決算」小売業の決算総括--最高益多い - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2017-04-20 11:09

 小売業では、総合小売業(百貨店や大手スーパー)が不振で、コンビニやドラッグストア、専門店が好調の図が鮮明だ。百貨店とスーパーは、アパレル雑貨分野では専門店に、食品や日用品分野はコンビニやドラッグストアに売り上げを奪われる傾向が鮮明である。

(1)セブン&アイHLDG

 内外コンビニの成長により、経常最高益の更新が続いており、投資価値は高いと判断している。国内では、3大コンビニ(セブンイレブン、ローソン、ファミマ)を中心に集約が進んでいる。

 特にセブンの強さが際立っている。ただ、いずれ国内だけでは成長の限界が来ると考えられる。セブンは、海外でも稼げるビジネスモデルを確立していることが強みである。国内コンビニの成長余地が徐々に縮小する中、今後は米国セブンイレブンの成長が加速すると考えられる。

 セブン&アイの足を引っ張ってきたスーパーストア事業(イトーヨーカ堂)と百貨店事業(そごう西武)のリストラが進んできたことも注目できる。通販事業(ニッセン)の赤字が続いていることが問題だが、いずれここでも抜本的な対策を打ち出していくことになると考えられる。

(2)ニトリHLDG

 2018年2月期で31期連続増収増益を達成する見込み。業績絶好調だが、株価は上昇が続いてきて高値圏にあるので、ここから投資する妙味はあまり高くないと考えている。

(3)イオン

 小売り(スーパーストア)事業は不振が続いているが、金融事業と不動産事業の利益が成長し、イオン全体の利益を支えている。成長性は見込めないものの、金融や不動産を含めたベースで安定的に利益を生んでいく力はあると考えている。株主優待で個人投資家に人気の銘柄である。値上がり期待はあまりないが、株主優待目当てで長期投資するのに、特に問題があるとは考えていない。

(4)ユニー・ファミリーマートHD

 ファミリーマートに、旧ユニーグループのコンビニ事業(サークルK・サンクス)を加えると、店舗数でローソンを抜き、国内コンビニでは、セブンについで第2位となる。ただし、当面は統合コスト(看板つけかえ)などにコストがかかり、店舗数が増えたメリットを得るには時間がかかりそうだ。ファミリーマートは、セブンイレブンと同様に海外進出は進んでいるが、セブンのように海外で高い収益を得るビジネスモデルはできていない。

 ユニーは大手スーパーとして、なんとか収益性を維持していけると考えられるが、コンビニやドラッグストア、専門店に売り上げを奪われる構造は変わらず、苦戦が予想される。

 コンビニ事業が再成長するまで、利益は踊り場になると考えられる。コンビニ事業で統合効果が大きく出てくるのが確認できるまで、投資は慎重に考えた方がいいと思われる。

(5)ローソン

 2017年2月期は経常最高益を更新したが、2018年2月期は持続的な事業モデル構築のための投資増が響いて減益となる。具体的には2018年2月期、新規事業で約20億円、看板替えで約25億円、次世代システム構築で約40億円のコストが発生する。

 ただし、2018年2月期を踊り場として、2019年2月期以降、再び成長が続くと予想される。予想配当利回りが3.5%と高めで利回り株として投資するのに適していると思う。

 ちなみに、国内店舗数でユニー・ファミマに抜かれるが、ユニー・ファミマはブランド統一に時間がかかるので、実質的にはローソンがセブンに次ぐ国内第2位の強みを持つことは変わりない。

 ローソンの問題は、海外進出が遅れていることである。2017年2月期決算のセグメント別利益を見ると、国内コンビニが593億円の営業利益を稼ぐのに対し、海外事業は28億円の営業赤字となっている。買収した高級スーパーの成城石井は69億円の営業利益で貢献している。

(6)J.フロントリテイリング(大丸、松坂屋、パルコ)

 4月20日に旧松坂屋銀座店と周辺地域を一体開発してつくりあげた、銀座地区で最大の商業施設「GINZA SIX」が開業する。売場面積は4万7000平方メートルで、初年度売上目標は600億円だ。

 銀座中心に中国人の爆買いブームが続いていれば、もっと注目されるはずだった。爆買いブームが沈静化した後での開業となったが、開発に制約のある銀座地区でGINZA SIXに匹敵する商業施設はもう作ることはできないと考えられるので、J.フロントにとって非常に重要な戦略拠点であることには違いない。

 1人の観光客が大量に買い物をする爆買いブームは去り、昨年、インバウンド(訪日外国人観光客)の買い物はマイナスに転じた。ただし、外国人観光客の数は順調に拡大していることから、1~3月にはJ.フロントの免税店売り上げは前年比で再びプラスに転じてきている。

 積極経営で百貨店で生き残りとなると考えられる。ただ、都心店は堅調だが、地方店は厳しい状況が続いている。専門店やコンビニとの競合で苦戦する状況は変わらないので、GINZA SIX開業など短期的な話題で株価が上昇することはあるかもしれないが、百貨店株は長期投資には向かないと考えている。

訪日外国人数の推移:2011年1月~2017年3月

訪日外国人数の推移:2011年1月~2017年3月
出所:国際政府観光局(JNTO)

 2018年2月期からJ.フロントは、会計基準で国際会計基準(IFRS)を採用する。売上計上基準がIFRSと国内基準では大きく異なる。IFRS採用で見かけ上の売上高は6割近く減少するが、実態は変わらない。消化仕入方式の売り上げを計上できなくなることが、見かけ上の売上高減少に響く。

 IFRSになると、利益の計上方法もいろいろ変わる。のれんの償却がなくなる、特別損益の計上が認められなくなるなどの影響がある。

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