日本マイクロソフト、ユニアデックス、NTTドコモの3社は4月21日、法人向けIoTビジネスの拡大に向け協業を開始すると発表した。
主な協業内容は以下の4つ。
- セキュアなIoTパッケージサービスの構築、提供、運用
- 業界に特化した課題を解決するための共同営業活動
- プロモーションやイベントを通じたマーケティング活動
- 「IoTビジネス共創ラボ」を通じたパートナー企業の開拓
2017年9月から「IoTパッケージサービス」を3社共同で販売する予定だ。このサービスは、日本マイクロソフトの「Microsoft Azure」、ユニアデックスの「IoTビジネスプラットフォーム」、NTTドコモが提供する閉域網サービスを連携させる。センサ機器などから収集したデータを、「docomo M2Mプラットフォーム」を介してモバイル回線で閉域網接続して送信し、Azureに蓄積する。その上で、IoTビジネスプラットフォームでデータを可視化し、業務効率の向上などに活用する。
システムの概要図
IoTパッケージサービスの内容と機能
IoTパッケージサービスの導入例として、産業用チェーン世界最大手の椿本チエインの事例が示された。同社は、ユニアデックスの「IoTエコシステムラボ」を通じて、機械に取り付けられたPLC(制御装置)からのデータをもとに生産現場における生産工程を可視化した。
椿本チエインの製作ラインと可視化画面のイメージ
同社は、機器に取り付けられたPLCからのデータを遠隔監視システムと連携することで定量的に把握する仕組みを実現したが、生産ラインにある全ての機械に取り付けられておらず、現状は一部の機械で効果を確認した状況だという。今後はIoTパッケージサービスをPLC非対応の機械や他工場への展開に利用し、セキュアで低コストな取り組みを実現していく予定だという。
IoTパッケージサービスは、閉域網サービスを利用するため、生産現場から発生する機密情報やヘルスケアサービスなどで取得した個人情報を安全に送信できる。また、機械学習や接続管理などの機能を持つAzureを利用することで、あらかじめ可視化するメニューを厳選し、ワンストップで閲覧することが可能だ。
3社は同サービスを通じ、2020年度までに1000万台のIoT機器との接続を目指す。また、製造業分野では、製造設備の見える化だけでなく、作業員の動きの把握や、体調のデータ化など総合的な生産性向上させる仕組みづくりを行っていく。ヘルスケア事業では、IoTを活用して患者の日常の健康状態や変化を自動的に把握できるようにし、介護や医療現場での需要拡大と人手不足に対応する。