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日本株展望

仏大統領選は好結果--でも消えぬEUの火種 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2017-04-25 12:31

 ところが、ギリシャはドイツの信用で支えられた通貨ユーロを使用していたため、通貨は高止まりし、為替による調整機能が働かなかった。ユーロを使い続けていたギリシャは、経常赤字を拡大させても通貨安による輸入インフレに見舞われることがなかった。それで、さらに経常赤字が拡大するという構造に陥った。

 スペインもポルトガルもイタリアも、大なり小なり同じ構造問題を抱えている。自国通貨が下がることによる「消費抑制効果」が働かないため、過剰消費は抑えられない。そのまま放置すると最後は、ドイツなど経済強国からの補助金で埋め合わせなければならなくなる。そうなっては困るから、ドイツはEUを通じて強権を発動して緊縮財政を強制する。

 スペイン人やポルトガル人、イタリア人は、自国通貨の下落によるインフレによって消費が抑圧されるならば、それは自国経済が弱いためとあきらめるだろう。ところが、EUドイツの命令で緊縮財政をやらされ、それで消費が抑圧され、景気が低迷していると聞かされるとEUへの怒りが蓄積していく。

 今のところ、南欧諸国の反EU勢力は「反緊縮」「反移民」を唱えているだけでEUからの離脱を明確には宣言していない。自国通貨を捨て、共通通貨ユーロを採用してしまった以上、それを自国通貨に戻すにはあまりに巨額のコストがかかるからだ。EUに留まった上でEUの規制に反旗を翻すスタンスを取っている。

 英国がEUからの離脱を決断できたのは、通貨まで共通化せず、英ポンドを残していたからである。通貨を人質にとられたEU諸国は、EUからの離脱を簡単に口にできない。ただし、フランス大統領選で決戦投票に進む国民戦線ルペン党首のように堂々と反EU、EUからの離脱を唱える勢力も現れてきている。

ドイツにも焦り

 EUを主導しているのはEU最大の経済強国ドイツである。南欧のEU加盟国で勢力を拡大しつつある急進左派勢力や極右勢力など、反EU勢力は、今のところ「EU官僚」「ブリュッセル(EU本部があるベルギー首都)」を緊縮財政を押し付けて景気を低迷させる元凶として批判しているが、一歩間違えば、批判の矛先はドイツに向かいかねない。

 そのドイツに焦りがある。経済的に弱体のギリシャなど南欧諸国をドイツがEUを通じて財政的に支えていることにドイツ国民の不満が膨らんでいるからだ。

 「われわれの税金を使ってギリシャを支えるのはやめろ」という声が広がっている。財政規律を重んじるドイツやオランダなどは、第2・第3のギリシャが現れることを防止するために、財政状態のよくない南欧諸国に何としても緊縮財政を守らせなければならないと焦っている。

 EUを主導するドイツでも、反移民・反EUを掲げる極右政党「ドイツのための選択肢」が勢力を拡大する事態が起こっている。

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