ATMが最初に登場した頃から、銀行は業務の効率を高めるために、オートメーションを広範に利用してきた。そして人工知能(AI)の高度化が進んでいる。例えば、「MyKai」のような個人バンキング向けチャットボットも存在する。MyKaiは、「CDとは何か」といった一般的な質問に答えたり、ユーザーがギャンブル依存症かどうかを判断できるようにするなど、さまざまなパーソナライズされたサービスを提供できる。そうした中、このテクノロジは銀行業界に大きな変革をもたらそうとしている。
Accentureは「Banking Technology Vision 2017」レポートで、 「Accenture 2017 Technology Vision」の中で着目した5つのトレンドを取り上げている。また、約30カ国の銀行幹部ら約600人にインタビューし、AIの使用に関する銀行業界の現状、そして改善するために銀行業界に何ができるかということについて展望を示している。
データ収集や顧客とのコミュニケーションに関して、AIが銀行業を劇的に変えるという大方の意見、そして技術革新の重要性が理解されているにもかかわらず、半分以上(52.2%)の銀行業者は、自分の所属する組織が包括的な戦略の一環としてデジタル技術に十分な投資を行っていないと述べたという。
銀行業界における5つのAIトレンド、そしてそれを統合する方法についてのアドバイスを以下に挙げる。
1. 顧客とのコミュニケーションでのAI活用
銀行は金融情報の処理でオートメーションに大きく依存しているが、メッセージングボットなどのツールの急速な成長により、AIがカスタマーサービス担当者の役割を担うようにもなっている。
レポートによると、自動化されたカスタマーサービスアシスタントを使うことで、「ニューヨークに拠点を置くある投資銀行は、平均問題解決時間を93%短縮(47分から4分に)することに成功した」という。ただし、こうしたタイプのアシスタントを既に広範に利用している銀行業者は30%にすぎない。
レポートによると、顧客とのやり取りの管理を支援する機械学習ツールを統合することで、銀行は「バックエンドのプロセスを合理化し、ネットワークをサポート」することができるという。こうしたことを実現するために、銀行は「AIと認知プロセスの可能性を探究するための拡張性や柔軟性のある試行および学習環境を作り出し、技術革新のペースを速める」必要がある。
2. パートナーシップ
銀行は堅牢なプラットフォームのみに依存することはできない。テクノロジ企業と提携関係を結んで、エコシステムを作り出す必要がある。このエコシステムで、銀行とパートナーが協力して、顧客に最高のサービスを提供するのだ。レポートによると、銀行は「関係者の役割に関して最も実行可能性の高いシナリオを創出する」必要があるという。「そのシナリオでは、銀行とパートナーブランドが主役になる。そして銀行は、一部の銀行サービスが他社のプラットフォームに移行することで、自らが支配力を失うという発想を受け入れる必要がある」

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