もう一つ、大企業とアライアンスを組んで新しい事業を創っていくという仕事も担当しています。オープンイノベーションというと、ベンチャー企業と一緒に組むというイメージがあると思うのですが、異業種の大企業の方々とアライアンスベースに新しい挑戦をしています。
その媒介となりうるのがAPIです。銀行がAPIを作って外部に金融機能を開放し、イノベーティブなサービスを構築するという土台ができつつあるため、それを武器にして、外部企業と新しい仕組みを作ることにも取り組んでいます。
三菱UFJフィナンシャル・グループデジタルイノベーション推進部シニアアナリスト 藤井達人氏
それから、新しいデジタル通貨およびブロックチェーンへの取り組みも積極的に行っています。私自身も、MUFGコインと呼ばれている新しいデジタル通貨の開発に関わっていますし、会社としてはシンガポールでブロックチェーンを使った小切手のデジタル化なども積極的に進めています。
私が所属する部署では、金融機関でブロックチェーンを使ったときに効果が高く適したアプリケーションを研究しつつ、ブロックチェーンのソフトウェア自体にもいろいろな種類があるため、それらを技術的な観点から調査・評価を進めています。
われわれのようなオープンイノベーションの取り組みは、海外の金融機関などはもっと規模が大きいものを早い時期からやっていると認識しています。日本でFinTechという言葉を使って普通に会話ができるようになったのは、少し遅れて2014年の年末ぐらいでしょうか。
大平氏:新聞で「FinTechとは」という業界用語に解釈がついたのが2015年の春夏頃だったかと思います。
藤井氏:そうでしたか。たしかFinTech Meetupが最初に開催されたのは2014年の秋頃ですよね。