藤井氏: 新しい仕組みとして考えることが標準的な仕事のやり方として全社的に広まると、デジタルの世界において、本当の意味での競争力を構築できると思います。本当に文化を変えようとしたら10年くらい必要かもしれません。しかし、今はスタート地点としては悪くなく、この2年くらいで新しいやり方の必要性が伝わってきたのではないかと感じています。
大平氏:ある程度マインドチェンジみたいなものがあると思っています。われわれも大企業とベンチャー企業の事業提携を促すMorning Pitchを開催していますが、その初回には「上司に言われたから来ました」というような、すごく熱量の低い方もいます。そんな方が来た場合は、われわれでインスパイアします。
その方たちが3回、4回と来て、人生をかけているベンチャー企業の社長さんたちの情熱に触れると感化されていくんですね。「大平さん、この前良いベンチャー見つけたんですけど知ってます? 」と言うような感じに人が変わることがあるんです。少しずつそうした動きが伝播していくと、より良くなるのかなという気がしますね。
落合氏:少し異質な人が入ることで、起きる変化があるということですね。平手さんは以前はものづくりに携わっていたということで、金融との文化の違いに触れるなかで、ビジネスやFinTechがこういう風に変わっていきそうだなと感じている部分はありますか。

三井住友フィナンシャルグループ ITイノベーション推進部部長代理 平手佑季氏
平手氏:私は日本のメーカーで営業や経営企画部門にいた後で経営コンサルティング会社に転職し、通信業界やハイテク業界を担当していました。それから2015年の11月にこの会社に入って、ITイノベーション推進部で新しい取り組みをすることになりました。
この部署が掲げていたスローガンに、"Privileged to Fail"(失敗が許容される権利)というものがあり、技術検証にせよ、新しいサービスにせよ、事業支援にせよ、失敗してもいいから新しいことをしよう、というものがあったので、それを実践すべく取り組んでいたのです。
ただ、私は転職しているので分からないのですが、銀行は減点方式だということもよく言われるので、本当に失敗していいのだろうか、というところは当然ありました。でも、こういった取り組みを1年と少し続けてきた結果、上の方の理解も進んできて「失敗はどんどんしなきゃいけないし、そういうものだ」という言葉もいただくようになり、だいぶ動きやすい環境になったと社内で思っています。