大平氏:シンガポールに、携帯ショップのような銀行の支店があります。若者が好きそうなネオンがついていて、夜の7時頃まで営業していて、中に入るとかわいいグッズが置いてあるような店舗で、金融機関の口座開設マシーンもあるんです。
確かに、私たちのスマホの使い方と、私たちの子供世代の使い方とは少し違いますよね。当社で働くインターンに「今流行りのアプリは何?」と必ず聞くのですが、違いが面白いですね。自分がやってもおもしろくないアプリでも、20代が話してるSNSのタイムラインを見ると、これは楽しそうだなとなります。
藤井氏:非常に細かいセグメンテーションをして、こちらから寄っていくというアプローチですよね。そういうコンシューマー向けのビジネスというのは、いろいろな顧客の実態をどう捉えていくかがキーポイントで、その競争はすごく激しくなっていくと思います。
大平氏:富裕層になればなるほど、個人情報を取られたくないという人が必ず出てきますよね。例えば年会費数万円でも「クレジットカード履歴を必ず守ります」というオペレーションサービスが出てくる可能性もある。情報で囲い込む流れになればなるほど、逃げ出したい人たちが出てきます。
トーマツベンチャーサポートアドバイザリーサービス事業部 FinTechリーダー 大平貴久氏
そのうちマネーフォワードのようなPFM(個人財務管理)でも「5000円月々払えば絶対(情報を)守ります」といったサービスが出てくるかもしれないですね。
平手氏:それの逆もあって、自分の持ってる情報を販売することでお金を稼げるというような考え方が、議論上ですが出てきますよね。デジタル化が進展し情報に関する考え方が変わってきている部分です。サービス提供者側からすると、今までは顧客を知る情報は、店舗における対面や年収、仕事という属性環境などでしたが、より幅広いデータを使って顧客を理解しサービスを作るという大きなトレンドもあるので、そういうサービス開発もしていければいいなと思っています。
大平氏:海外の金融機関には、スマートフォンを持って位置情報を発信すると利率が下がるといったサービスがあると聞きました。毎朝何時に家を出て、会社へ行って、毎日同じ場所に帰ってきてるかを調べているんです。毎日違う場所に帰っている人と、毎日同じ場所に帰っている人で、どちらが与信のレベルが高いかということです。
藤井氏:日本や欧米ではなく、比較的個人情報に対する縛りがゆるいアジアなどですよね。
大平氏:現状、借りられない人からすれば、個人情報を開放したら借りられるようになるとしたら、それはありがたい話ですよね。
<第3回へ続く>