金融(Finance)とテクノロジ(Technology)の造語であるFinTech。2015年にはメガバンクグループでFinTech専門組織の設立が相次ぎ、FinTech協会も設立された。2016年には金融庁を中心とした法制度の整備が進んだことも記憶に新しい。FinTechに対して、金融の現場ではどのような取り組みがされており、どこに向かっているのか、識者5人が語る。参加者は以下のとおり。
参加者(自己紹介順)
- 藤井達人(三菱UFJフィナンシャル・グループデジタルイノベーション推進部シニアアナリスト)
- 大久保光伸(みずほフィナンシャルグループデジタルイノベーション部シニアデジタルストラテジスト)
- 平手佑季(三井住友フィナンシャルグループ ITイノベーション推進部部長代理)
- 大平貴久(トーマツベンチャーサポートアドバイザリーサービス事業部 FinTechリーダー)
- 落合孝文(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業パートナー弁護士)
FinTechとIoTの関係

みずほフィナンシャルグループデジタルイノベーション部シニアデジタルストラテジスト 大久保光伸氏
落合氏:日本は割と個人情報に対してセンシティブなため、データの利活用が難しいところがあると思います。内閣官房でも、個人がパーソナルデータに関与できるような「情報銀行」といった仕組みを作っていこうという動きもあり、世の中でデータを使おう、IoTに近づこうという流れが起きている感じがします。
大久保氏:弊社ではFinTechをIoTの一部と捕らえており、IoT決済というキーワードで銀行のAPIを活用する研究開発を進めています。
例えばスマートホームやウェアラブルデバイス、コネクテッドカーなどから銀行の口座をもっと活用していただき、直接決済できるようなスキームを考えています。
シェアリングエコノミーの決済手段は固定していませんが、AirbnbやUberのようなサービス利用料を銀行で直接決済できるようになると、KYC(顧客確認)が付加され、サービス提供者と利用者の双方がWin-Winな関係を築けるのではないかと思います。
平手氏:IoTについて、スマホ、音声認識、自動運転車、家電すべてに言えることですが、コネクテッドなデバイスが増えていくことは間違いないです。それが実際にサービスとなったら、どうなるかを落とし込んでいくのかだと思います。