落合氏:海外のペイロールカード(給与支払い用プリペイドカード)のようなものを日本でもやりたいという事業者は多いですね。それが実現すると、給与振込先口座に顧客の情報が集まることが多いので、データの方もそちらに集まっていくかもしれません。そういう銀行以外の事業者データを集めるになってくるかもしれないという背景を踏まえて、データの活用について取り組まれているところがあればお話いただけますか。
藤井氏:リテールも法人も、データを使って上手く分析し顧客1人1人に合わせた、one to oneマーケティングに以前から取り組んでいます。ただ、新しいチャネルが増えているので、投資すべきチャネルの優先順位も考えていくことになるでしょう。

三菱UFJフィナンシャル・グループデジタルイノベーション推進部シニアアナリスト 藤井達人氏
また、「データを使って特定の領域・業務を効率化できます」というピンポイントのFinTechベンチャーは海外に結構あります。われわれはシンガポールとサンフランシスコに拠点を作って、現地のスタートアップとの接点を持ち協業できるポイントを常に探しています。
金融機関内での効率化
落合氏:大久保さんのところでは、FinTechであったり、テクノロジを使って生産性を上げていくところにはどう取り組まれていますか。
大久保氏:API化が進むと新しいトランザクションが生まれてくるので、点を線にしていくことで、もう一段、顧客の生活に還元できるような新しい提案ができるようになるのではないかという期待を持って取り組んでいます。
落合氏:コールセンターなどの効率化の中で、社内でWatsonを使っていくというような取り組みもされていますが、それについてはいかがですか。
大久保氏:RPAなど業務効率化が見込まれる分野ではどんどん進めるべきだと思いますね。デジタル時代にも関わらず紙運用も散見されますし。
落合氏:法律の業界は事務所の中、裁判所の中も紙だらけです。裁判所は、基本的にメールを使っていません。デジタル化や効率化について、平手さんはいかがですか。
平手氏:今まで人手でやっていた作業をAIを使うことで効率化すれば、早く対応できるようになったり、それによって顧客のユーザビリティが上がるのではないかということは会社全体で力を入れて取り組んでいて、実際に成果も出始めているかなと思います。
データをもっと上手く扱って効率化するアプローチもあれば、コールセンターや紙などの非定型のものを定型のものに読み込んで効率化していくなど、いろいろなアプローチができると思っています。
サービスづくりともう一方の柱として、そういうライン業務の効率化は進めていますね。