海外コメンタリー

パナマ運河の効率的な船舶通航を実現する新システム--IoT活用も

Colin Barker (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-05-02 06:30

 貨物船が威風堂々と行き交うパナマ運河で新たなシステムが開発されている。この新システムの狙いは、数に限りのある閘門(こうもん)を有効利用し、数多くの船舶を通航できるようにするというものだ。

Panama Canal Authority
パナマ運河の新システムによって船舶の待機時間が減り、日々の通航可能船舶数が引き上げられるという。
提供:Panama Canal Authority

 北米大陸と南米大陸の間に設けられたパナマ運河のおかげで、南米最南端のホーン岬を回ることなく数千トンに及ぶ積荷を輸送できるようになった。

 世界はコンピュータシステムに依存している。この運河も例外ではなく、コンピュータシステムを用いて24時間絶え間なく船舶の通航を制御し続けている。今、このシステムは大規模な改修作業の真っ最中だ。その目的は、時代の流れに追随するだけでなく、運河の通航量を増大させるところにある。

 Dassault Systèmesの子会社であるQuintiqが、この改修作業を進めている。Quintiqは、サプライチェーン・プランニング&オプティマイゼーション(SCP&O)ソフトウエアを、オンプレミスおよびクラウドで提供する企業であり、米連邦航空局(FAA)や国際宇宙ステーション(ISS)、英国防省のシステムも手がけている。

 Quintiqによると、この新システムによって、今までのシステムでは成し遂げられなかったかたちで、同運河の持つ重要なリソースすべてを対象とした包括的な運用プランの遂行が可能になるのだという。

 同社は声明において、「状況の認識とデータを改善することで、より良い意思決定を可能にする情報の提供が可能になるため、運用上のリスク低減を支援できるようになる」と述べるとともに、「Quintiqは同運河のリソースに関するプランやプログラムの方法を最適化することでコスト削減も支援する」と述べた。

 Quintiqによると、開発中のシステムは船舶の待機時間を減らし、日々の通航可能船舶数を引き上げるとともに、航路そのものの信頼性を向上させるという。

 Quintiqのラテンアメリカ地域責任者Camilo Gaviria氏は米ZDNetに対して、「われわれは、サプライチェーンにおけるプラニングや最適化に関するあらゆる種類の難問を取り扱える、単一のソフトウェアソリューションを提供している」と述べた。

 同氏は「われわれのソフトウェアが持つ最大の利点の1つは、その柔軟性だ」と述べ、「われわれはパナマ運河、そしてそこを通航する船舶、生産計画などから、FAAの管制官の勤務計画に至るまでのあらゆる問題を解決できる」と続けた。

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