クラウドがエンタープライズITの表舞台に立ったのは明らかだ。しかしオンプレミスを差し置き、アプリやインフラ用の環境として真っ先に検討すべきものとなるのだろうか?その答えは、ひとことでは言い表せない。

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企業にとって、クラウドは数年前までは見慣れぬテクノロジだった。しかし、その状況が変わったのは明らかだ。実際のところ、クラウドのインフラとサービスは一部の企業や垂直業界では必須の武器となっている。
セキュリティやコンプライアンス、稼働時間、コンピュートといった選択肢における進歩に伴い、クラウドは最も要求が厳しい企業にとってさえ魅力的な選択肢となっている。しかし、クラウドはオンプレミスのデータセンターに取って代わり、ITプロジェクトにおけるデフォルトの選択肢と言える段階にまで到達したのだろうか?
答えはひとことでは言い表せない。その理由は企業の歴史や文化によって変わってくるためだ。GartnerのアナリストLydia Leong氏によると、IT業界の新興企業においては「クラウドが間違いなく前提となっている」という。しかし既にインフラができあがっている企業においては、企業文化や、リーダーの好みといったその他の要素が関係してくるという。
同氏によると、一部の企業はクラウドファースト、すなわちクラウドを選択しないという確固たる理由がなければクラウドを選択しているという。また一部の企業は、単にクラウド関連テクノロジを自社のITポートフォリオに加えるだけであり、それ以外の企業は他の選択肢がない場合の最終的手段としてクラウドを捉えている。Leong氏は「業務のペースが早く、最高情報責任者(CIO)の考え方が先進的であるほど、企業はクラウドに向かうようになる」と述べている。
また、クラウドファーストという観点での疑問に答えるには、企業が移行を検討しているエンタープライズITの特定の観点にフィットするクラウド移行オプションが、どれなのかという点についても考慮する必要がある。Forrester ResearchのアナリストDave Bartoletti氏は、最初に考慮すべき点の1つとしてクラウドアプリケーションを挙げている。つまり、ソフトウエアをアップグレードするのか、SaaS製品に移行するのかだ。同氏によると、およそ4年前にクラウドアプリケーションへの移行の流れが始まり、今では同氏の関与するほとんどの企業は、アプリケーションに関して言えばクラウドファーストあるいはクラウドオンリーとなっているという。
Bartoletti氏は「私は中堅企業から大規模企業のほとんどが、クラウドファーストという考え方に近づいてきていると考えている。こういった企業では、クラウドによる選択肢が数多くある場合、オンプレミスに配備するうえで確固たる理由が必要となる」と述べている。