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「マイデータ」の時代

「私の情報は広告のためのものではない」--個人主導データ流通がもたらす変革

伊藤 直之(インテージ)

2017-05-16 07:00

 データに関するキーワードはさまざまあるが、「マイデータ」という言葉が世界中で使われ始めているのをご存知だろうか。

 欧米では、2010年前半からパーソナルデータ活用のプライバシー問題についての議論が積極的に行われ、消費者の権限強化の必要性が一般に共有されてきた。具体的には政府・民間保有個人データの個人還元や自己情報コントロールをテーマとしたMyData/midata(マイデータ)と名付けられたプロジェクトが政府主導で立ち上がっている。

 民間主導でも2016年8月にフィンランドで「MyData 2016」が開催され、主にヨーロッパを中心とした企業や世界中から数百人が参加し、今年も8月に開催が決まっている。

 これらのプロジェクトは政府主導・民間主導問わず立ち上がり、まだ黎明期ではあるが関連サービスを提供する企業が出始めている。

 一方、日本においては2016年5月に改訂された世界最先端IT国家創造宣言で「データ流通における個人情報に関する本人の関与の在り方」を検討することの重要性が指摘された。

 各府省において生活者個人が自分に関するデータを自身で管理する「PDS(パーソナル・データ・ストア)」や、PDSなどのシステムを活用して個人から運用などの委託を受ける「情報銀行」について活発に議論された。

 また、この流れを後押しするように「個人の関与の下での多様な主体による官民データ活用」が条文に盛り込まれた官民データ活用推進基本法が同年12月に可決・成立した。欧米と比較すると遅れを取っていた日本だったが、この1年で潮流は劇的に変化した。

 5月19日にMyDataの日本版「MyData Japan 2017 」が開催されるが、参加者募集開始から早い段階で定員400人を超える申し込みがあり、日本においてもこの分野への関心が高まっていることがうかがえる。

 PDSや情報銀行などの仕組みが本当に必要なのか、ビジネスとして成り立つのか、現在のデータ利活用ビジネスを阻害するのではないかなど、懐疑的な方も多くいるかもしれない。


提供:iStock

 一方で、IoTやスマートフォンなどのデバイスの普及やアドテクなどのマーケティングテクノロジの進化によって、個人に関するデータの収集が容易になり、個人の理解とそれに基づいた最適なサービスや広告などの提供の需要も高まってきた 。

 特にデジタルマーケティングにおいては、特定の個人を識別することなくCookieやADID/IDFAなどのオンライン識別子を利用したデータエクスチェンジやデータ流通、マーケティング施策が当たり前のようになってきている。

 今後は位置情報などの個人の識別性がより高いデータの利用やさまざまなデータ連携によって、オフライン顧客データをデジタル化するデータオンボーディングなども今後は当たり前になってい個人識別性は否応なく高まっていくくだろう。

 しかしながら、また、個人情報保護法などに抵触しなければ問題なくビジネスがうまくいくわけではない。企業がいかに特定の個人を識別せずに広告やプロモーションなどのアプローチができる技術を高めたとしても、個人が「自身のことを勝手に知られているのではないか、プライバシーを侵害されているのではないか」とテクノロジに不気味さを感じてしまうようでは、信頼は得られない。

 信頼を得るためには、PDSや情報銀行など「個人がデータ流通に関与できる仕組み」によって、個人に対するデータ活用の透明性や説明責任を果たすことが生活者との信頼関係の構築に不可欠なのではないか。

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