「マイデータ」の時代

「私の情報は広告のためのものではない」--個人主導データ流通がもたらす変革 - (page 4)

伊藤 直之(インテージ)

2017-05-16 07:00

情報を使うことで便益を享受したい

 これまでの2つの特徴では、主にパーソナル情報は自分のものであって企業に勝手に使われたくないというデータ活用に対してのネガティブ意識が高いように感じる。一方、3つ目の特徴として自身のパーソナル情報の共有によって受けられるサービスの利用意向が高いというポジティブ意識も持ち合わせている。

 自身が収集している情報や、企業が保有している自身の情報を共有することにより実現できるサービスのユースケースを15個提示したところ、全ての項目でPDS/情報銀行利用意向層の方がサービス利用意向も高く、利用したい数が多いほどPDS/情報銀行利用意向層の割合が高かった。


 例えば、お店などで購入する/した食品情報と既に家の冷蔵庫の中にある食品情報を自分のヘルスケア情報と共にレシピサイトに共有することで、それらの食品から調理できる自分の健康状態に合ったオススメのレシピを教えてくれるサービスは、3割以上利用意向があった。

 そもそも料理しない場合や受けられるメリットよりプライバシー保護の方が重要であれば、「どちらともいえない」や「利用したくない」の割合も増えてしまうが、健康に気を使っている人や普段料理をする人に絞れば利用意向がある回答者の割合は増えるかもしれない。

メリットがわかれば自身の情報提供意向が高まる

 前述のユースケースを提示後に、このアンケート内で改めてPDS/情報銀行の利用意向に変化があったかを聞いている。これは、単純に機能や仕組みとしてのPDSと情報銀行の利用意向から、パーソナル情報を企業に共有することによってサービスを受けられることがわかれば、PDS/情報銀行の受容性が高まり、個人主導のデータ流通が活性化するという仮説があったからだ。


ユースケース提示後のPDS/情報銀行の利用意向変化

 結果として、元々PDSの利用意向があった層では、パーソナル情報の利活用期待層だけでなく不安層においてもPDS/情報銀行の利用意向が高まっている。また、前述のユースケースで利用意向のある数が多いほど利用意向が高まっているため、今回提示したユースケースにはない、新たなビジネスを企業が創造していけば最後まで利用意向がなかった層においても受容される可能性がある。この結果、企業は自社が保有してない個人データの共有を受け、活用できるようになるのではないだろうか。

伊藤 直之(いとう なおゆき)
2008年、株式会社インテージ入社。主に消費財メーカーの社内外データ利活用基盤構築やマーケティングリサーチに従事した後、現在はデジタルマーケティング領域の新規事業開発を行う。2013年よりオープンデータを推進するOpen Knowledge Japan運営メンバー。ビジネス領域でのオープンデータやパーソナルデータなど多様なデータの公開・流通による利活用を推進することによって、より良い社会の実現を目指す。

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