IBMは米国時間5月10日、深層学習ソフトウェアツールキット「PowerAI」に対するアップデートを発表した。データサイエンティストが深層学習モデルをデプロイしたり、開発者がコンピュータビジョンをアプリケーションに統合したりするのが容易になるという。
深層学習フレームワークのデプロイを簡素化するため、今回のPowerAIのアップデートには、データ準備用の新ツールなどが含まれている。「Apache Spark」を統合する「IBM Spectrum Conductor」と連携し、データセット変換の処理を簡素化する。
Gupta氏はデータの準備について、「些細な手順に聞こえるかもしれないが、実はこのコミュニティーでは、非常に大きな悩みの種である」と述べた。
また新しいPowerAIは、分散コンピューティングをサポートするTensorFlowによって、訓練に必要な時間も短縮する。GPUで高速化されたサーバの仮想化クラスタを利用することで、このバージョンのTensorFlowは深層学習の訓練時間を数週間から数時間に短縮できる。
さらに、「DL Insight」と呼ばれる新ソフトウェアツールは、深層学習のパラメータを調整するプロセスを自動化する。データサイエンティストが調整できるパラメータは何千個もあり、「どのノブを回せばいいのかを理解するためには、豊富な経験が必要だ」とGupta氏は述べた。DL Insightを利用すれば、手作業でチューニングを行わなくても、深層学習モデルはより精度の高い結果を迅速に提供するようになる。
アップデートされたPowerAIには、「AI Vision」と呼ばれる新ソフトウェアツールも含まれる。このツールを利用すれば、深層学習にあまり詳しくない開発者でも、コンピュータビジョン用の深層学習モデルを訓練およびデプロイすることが可能になる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。