Dell EMCとHPEと共に「3大ベンダー」の一角に入れるか
このように事業戦略も体制も新たに整えたレノボだが、注目されるのはグローバルで競合するDell EMCとHPEに立ち向かっていくことができるかだ。ここで筆者がレノボの競合相手としてDell EMCとHPEを挙げたのには理由がある。両社ともクラウド事業に注力する方針を打ち出しているが、いずれも基本的に「クラウドサービスを手掛けていない」という共通点があるからだ。
つまり、Dell EMCとHPEは共に、自らクラウドサービスを手掛けず、クラウド向けのプロダクト提供に徹するという戦略を選んだのである。両社がこうした戦略に徹するのは、ユーザー企業のオンプレミスを含むプライベートクラウド構築ニーズに対応し、メガパブリッククラウドベンダーが提供するサービスと連携を図ったハイブリッドクラウド市場で確固たるシェアを獲得したいという思惑があるからだ。
こうした戦略において、レノボは基本的に同じ立ち位置に居る。とはいえ、レノボのエンタープライズ事業にとって、Dell EMCとHPEは非常に大きな存在だ。果たして、どう立ち向かっていくのか。先に紹介した新たな事業戦略の内容が、当面の差別化ポイントとなる。
レノボにとっては、同じプロダクトに徹するグローバルベンダーとしてDell EMCとHPEと共に「3大ベンダー」呼ばれるようになれば、ユーザー企業の認知度や信頼度も上がるだろう。日本ではさらに存在感のある競合もいるが、グローバルでのステータスが高まれば、戦い方も違ってくるはずだ。
そんな筆者の見方に対し、橘氏は「ぜひとも3大ベンダーの一角として存在感を発揮できるようにしたい」と応じた。レノボと言えば、まだまだPCをはじめとしたコンシューマー製品ベンダーのイメージが強いが、エンタープライズ事業はまさにこれからが正念場である。日本ではとりわけ、橘氏と工藤氏の手腕にかかっているところが大きいとお見受けした。今後の奮闘に注目しておきたい。