ラベルを使うことなく商品に情報をタギングする
一方、2017年1月に買収した英DataLaseの印刷技術であるインライン・デジタル・プリンティングのことを松山氏は「ラベルレス革命」と表現する。「これまではラベルを媒体にして情報をタギングしていた。これに対して、ラベルを作ることなく情報をタギングできないか、という声に応える」(松山氏)
段ボールの所定部分に顔料をコーティングしておき、その部分にレーザーを照射することで文字を書く。出荷直前の段ボールに顧客向けマーケティングメッセージを書き込むといった用途も想定している。「商品に顔料をコーティングすれば感熱素材になる。レーザーの照射で発色する。つまり、現場のメンテナンスが要らなくなる。まずはここが刺さった」と松山氏は評価する。
さらに、製造ラインの最後の段階で情報を自由にタギングできることもメリットだ。「スマートフォンだけでなく、リアル印刷の世界においても、情報をパーソナライズ化して届けることができる」(松山氏)
現在では、まだ白黒でバーコードや文字を印刷できるだけ。いますぐに実現できるインライン・デジタル・プリンティングの応用例として松山氏は、ECサイトの消費者ごとにパーソナライズした広告を、商品郵送用のダンボール箱に印刷して郵送する使い方を挙げる。
スイスのNestleの事例では、Maggiブランドのお菓子のダンボール箱にインライン・デジタル・プリンティングを利用してロット情報やバーコードを印刷している。インライン・デジタル・プリンティングを導入している工場はまだ4つだが、今後は採用する工場を増やしていく意向という。