以前はアプリケーションの管理も簡単だったが、今日のアプリケーションは何千もの(物理的あるいは仮想的な)マシン上に展開される、複雑なものになっている。
こういった複雑に絡み合って広がったアプリケーションには、複数のコンポーネントが含まれており、接続ポイントが社内中に広がっていたり、クラウドを通じて外部に広がっていたりする場合もある。
では、エンタープライズコンピューティングの次のステージに備えて、最高情報責任者(CIO)がIT部門をオーバーホールするとすれば、そこにはどんな課題があるだろうか。この記事では、CIOが知っておくべきポイントを紹介する。
1.ビジネスの変化に対応できるプラットフォームを用意する
デジタル時代に成功する企業は、テクノロジを日常的なプロセスに取り込む能力を持っており、これまでIT部門と事業部門の間にあったような分断を持たない。
従来型の企業のCIOは、同様の考え方を社内で後押しする必要がある。ほかの部門から分離したコストセンターになるのではなく、あらゆる部門と直接連携しながら仕事を進めるべきだ。CIOに今求められているのは、事業部門のニーズを知り、各部門がテクノロジに関する判断を適切に下せるようにサポートですることだ。
多くのエンドユーザーは、実はデジタルに詳しい。IT部門が適切なツールを提供しなければ、各事業部門は社外のコンサルタントを雇って、独自のソフトウェアを用意してしまうだろう。幸い、ユーザーがサービスをオンデマンドで利用可能な、適切に管理されたクラウド戦略を用意すれば、変化が起きても対応できる基盤を提供できる。
AstraZencaのCIOであるDave Smoley氏は、「今では、いつでも、どここでも、オンデマンドでコンピューティングパワーやストレージ、アプリケーションを手に入れることができる」と述べている。「大規模な投資を行う必要はないし、長々とした調達プロセスも必要ない。これらの素晴らしいイノベーションは、クラウドによって可能になった。しかし、悪魔は細部に宿るものだ」
CIOは、ほかの事業部門が、オンデマンドITを最大限に活用できるようなガバナンスを確立する必要がある。複数のサービスを1つにまとめるには、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)が重要だ。しかし、特定のベンダーに押しつけられたAPIを使えば、ロックインが発生して、将来、事業部門がアプローチを変えることが難しくなる可能性もある。