IT部門の将来をどう読むか
IT部門の仕事には、企画、開発、運用などがあります。これらを遂行する人員は今後どうなっていくのでしょうか。
システムの運用管理要員の人員比率は、1人で運用できるサーバ数は増加傾向にあり、全般的に減少傾向にありますが、特にユーザー企業では減少すると考えられます。主な要因は外部化と自動化です。
手作業によるオペレーションはなくなることはありませんが、定型化できる業務はRPA(Robotic Process Automation)やAIによって順次置き換えられていくと考えられます。
一方、企画、開発、あるいはそれらに関わるプロジェクト管理などの要員は企業の姿勢次第ですが、全体的には増加傾向にあると考えます。これは、情報システム部門という枠にとらわれずに、事業部門を含むユーザー企業のIT人材という枠組みでの話です。今後は、IT人材をIT部門という枠だけでなく、事業部門を含む枠組みで考えなければならなくなるでしょう。
IoT、AI、RPA、AR/VR、ビッグデータなどのデジタル技術は事業部門に浸透していきますので、これらを担当する技術者が必要となります。
すでに金融業や製造業などにおいて、デジタルビジネス推進室などを設置し、ベンダー出身のIT技術者を中途採用する動きが見られます。
この領域は、従来の社内システム向けと比べて内製化率が高くなる傾向にあると思われます。IT部門としては、こうした事業に直結したIT適用や、デジタル技術を活用した新規の取組みにどのように関わっていくかが問われています。
- 内山 悟志
- アイ・ティ・アール 代表取締役/プリンシパル・アナリスト
- 大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストとして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は、大手ユーザー企業のIT戦略立案のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。最近の分析レポートに「2015年に注目すべき10のIT戦略テーマ― テクノロジの大転換の先を見据えて」「会議改革はなぜ進まないのか― 効率化の追求を超えて会議そのもの意義を再考する」などがある。