IoT関連のビジネスを推進している企業が現れ始め、国もその動きを加速させている。これまでIoT関連の事業では、既存のビジネスの「カイゼン」などに重点を置いたものが多かったが、今後、IoTで新しいビジネスを創るには、何が必要なのか。IoT分野で新規事業を推進するために必要な考え方や事例を、新興ベンダーを中心に議論する。参加者は以下の5人。今回は第2回(第1回)。
参加者(順不同)
- ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
- エスキュービズム 取締役 武下真典氏
- シーオス 代表取締役社長 松島聡氏
- ウフル 専務執行役員 IoTイノベーションセンター所長兼エグゼクティブコンサルタント 八子知礼氏
- 東洋ビジネスエンジニアリング ソリューション事業本部 IoTエンジニアリング本部 本部長 志村健二氏
IoTに関心を持っている層
シーオス 代表取締役社長 松島聡氏
志村氏:IoTに対する期待ついて、われわれもセミナーや展示会で会う顧客の話を聞いていると、「IoTは何ができるか、何をすればいいか」という人達がまだまだいます。われわれの顧客は製造業が中心ですが、裾野が広いと思いました。コマツに代表されるような、自社で立ち上げて自分たちで展開していく会社もあれば、これから始動していく会社さんも実際は多いのかなと。
もう1つ目立つのが、経営者に「IoTで何か提案しろ」と言われて来る方が多いということです。その方に「経営者の方はIoTを知っていますか」と聞くと、「多分知らないから教えなきゃいけない」と返答がありますが、目的がないと具体的にはなりません。IoTでカイゼンをやりたいのか、儲けたいのかが分からない状態で、ワードだけ先に進んで、そこまで解釈されていない現実を感じています。
松島氏:私は2016年12月に『UXの時代-IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか』(英知出版)という本を出しましたが、反響の大きさから関心の高さを改めて感じました。講演に呼ばれるようになり、読者になるべく会って、なぜこの本を読んだのか聞いていました。
すると、だいたい3つに分かれる。1つは経営企画で「IoTを使って、何か新しいことをやっていきたい」というまさにイノベーションの人達です。2つ目は「IoTやAIやロボティクスは全然わからないけど、興味があるから情報収集したい」という人達。もう1つは起業家です。講演の時に「皆さんどういう目的で来ていますか」と聞くと、大体1:1:1という状況になります。関心の高さが経営層にあり、イノベーションにIoTを使うとどう経済価値が生まれるかに紐付いてる印象です。