松島氏:日本システムロジスティクス協会という、あらゆる産業のロジスティクスを横断でやっている協会があります。そのIoT部会に出ているのですが、そこでは、「IoTを具体的にどう使うか」が議論になっています。2016年、準備委員会だった時は「IoTがもたらす経済効果は何かを体系化しましょう」という段階でしたが、今は「ソリューションとしてどう活用するのか」まで話が進んでいるのです。
その中で経済価値があるのは、「プロダクト・アズ・ア・サービス」だと思うのです。製造業は今までモノを売っていましたが、IoTの技術を使ってソフトウェアをつなげることでサービス化することが注目の的になっていて、あらゆる製造業はそれに向けてイノベーションをしようと思っています。
また、これまで日本は垂直統合でしたが、「水平協働型じゃないとダメだ」と本で書いたのです。それに非常に共感を持った企業が多く、われわれに「水平協働型でやりましょう」という相談が、たくさん寄せられるようになりました。これは、今までのように自分たちが持っている技術だけで何かをしようとしているのではなく、いろいろなところの技術を使って新しいイノベーションに取り組んでいるからだと思います。
そういう人達は、「これをやったらこういう経済価値があるだろう」という仮説を持って実証実験に取り組む段階に来ています。私は「2018年がIoTの普及元年になる」と言っているのですが、2017年はIoT実施元年であるという状況をひしひしと感じています。
IoTビジネスは儲かっているのか

ウフル 専務執行役員 IoTイノベーションセンター所長兼エグゼクティブコンサルタント 八子知礼氏
ZDNet:次の論点は、「IoTビジネスは儲かっているか」です。IoTは「カイゼン」のようなサービス文脈で語られますが、松島さんのお話にあったプロダクター・アズ・ア・サービスや、データを売るサービスも考えられます。どんなところでビジネスが立ち上がり、どうお金がうごいているかをお聞きしたいと思います。
八子氏:これは、ビジネスになっているのはどんな分野かという話でもあると思います。インダストリアルにどこが儲かっているのかという話は、サービスモデルでどこが儲かっているのかという話と一緒に語らないと難しいからです。
われわれウフル自体はIoTパートナーコミュニティという40社を集めた、松島さんが仰ったような水平協働型のコミュニティも運営していますし、
われわれ自身もコンサルティングやアドバイザリーに加えて、インテグレーションもやっています。できたモデルを外販したり、マーケットに出すための広告宣伝をする部隊もいます。
その中で言うと、コンサルティングはかれこれ2年以上前から、(前職の)シスコからつないできたものも含めて引き合いも多いですし、ビジネスは好調です。POC(概念実証)を作ることに関しても、小さな案件からある程度の話まで、引き合いは多いです。パートナーと一緒になって、アドバイザリーをしながらもPOCを作って、どういうデータが上がってくるかを評価することも多い。これは儲かるところまでは行っていないのですが、事例も増えていますし、小さなベンダーにとってはそれでもハッピーな状況で、売り上げも立っています。