次にわれわれが取り組んでいるのが商用化サービスのところです。POC(概念実証)を実現した後のスケールは、今はたくさんやれている状況ではありません。移行期間、商用化設計、ビジネスモデルの検討は、まだインテグレーションや構築の段階には入っていないか、入っていたとしても商用サービスが動いていないので儲かるところまで行っていない状況です。
そういう意味では、POCをどうやって越えていくのかは、マーケットからも再三聞かれる話ですし、セミナーで喋ってくれと言われるテーマの半分くらいでもあります。その部分が大きな課題になっているとともに、そこを超えれば儲かるということは普通に言えるのかなと思っています。
ビジネスになっている分野としては、製造業からの引き合いは多いですが、POC止まりになっているところも比較的多い印象で、設備管理などの方がフットワーク軽く動いてくれますね。設備管理や設備の稼働状況の把握、ビルの管理がビジネスになりつつある領域かなと思います。

ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
玉川氏:まず、IoTビジネスが儲かっているかという観点から言うと、われわれはIoT向けの通信をしている企業なので、ビジネスになっていないと存続しないというのがあります(笑)。
われわれは通信という領域がある通り、IoTだから可能なプラットフォームビジネスは、出てくると思っています。われわれの場合では水平型プラットフォームなので、いろいろな業界・企業規模の会社に使っていただいています。ソラコムを使うフェーズとしては、R&D部隊がスモールスタートできる通信やクラウド、デバイス、コンセプトモデルを使って、実証実験をするという段階が非常に多いですね。
事例では、ヤンマーやパラマウントベッドがR&Dで使っています。また、AWSやセールスフォースもそうですが、新しいテクノロジがあったら早く取り入れて自社に生かす、という企業文化を持ったところは非常に強いなと感じています。そういう意味では、コスト削減ではなくてトップライン(売り上げ)を伸ばすためにIoTのテクノロジを使う企業は面白いなと。
例えばコマツは「IoT事業部」から「スマートコントラクション事業部」という名前になっていて、もう事業化されています。建設業界の大きな課題の一つに、建機を運転する会社さんでは、引退する手前の団塊の世代と、若いお兄さんお姉さんという組み合わせがほとんどで、そういったチームでどう効率よく現場を回していくのかという問題があります。
コマツさんはそこにソリューションとして、「スマートコントラクション」というコンセプトでビジネスをしています。端的に言うと、ドローンで現場を解析して、どういうスケジュールでどの大きさの建機を入れたら良いかをサポートをし、なおかつステレオカメラで撮った画像・動画をソラコムでウェブに上げてクラウドで解析。どの角度で入れるべきかのサポートをし、ベテランでなくても効率よく建設現場を進められるビジネスをされています。これは一つの例かなと思います。