IoT関連のビジネスを推進している企業が現れ始め、国もその動きを加速させている。これまでIoT関連の事業では、既存のビジネスの「カイゼン」などに重点を置いたものが多かったが、今後、IoTで新しいビジネスを創るには、何が必要なのか。IoT分野で新規事業を推進するために必要な考え方や事例を、新興ベンダーを中心に議論する。参加者は以下の5人。今回は第3回(第1回)(第2回)。
参加者(順不同)
- ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
- エスキュービズム 取締役 武下真典氏
- シーオス 代表取締役社長 松島聡氏
- ウフル 専務執行役員 IoTイノベーションセンター所長兼エグゼクティブコンサルタント 八子知礼氏
- 東洋ビジネスエンジニアリング ソリューション事業本部 IoTエンジニアリング本部 本部長 志村健二氏
IoTで「儲かる」までのハードル
東洋ビジネスエンジニアリング ソリューション事業本部 IoTエンジニアリング本部 本部長 志村健二氏
松島氏:ソラコムの玉川さんが仰っていたように、「IoTの通信インフラがビジネスになり始めている段階」だということは理解できました。各産業のロジスティクス(調達、輸送、管理)はインフラですから、次はわれわれみたいな(ロジスティクスを担う)企業が普及していかなければならないと認識しています。
IoTでビジネスを成立させる観点では、顧客からすると最初に目指すことは「今の事業の付加価値を上げること」ですが、「その延長線上で新しい事業が作れること」があると知ると態度が変わるかもしれません。
2017年は"IoT実施元年"なので、当然儲からない。だからわれわれは既存ビジネスとの組み合わせで提案力を上げるという工夫をしています。
ただしわれわれが2018年と定めている「IoT普及元年」ではインストールベースを増やすことで儲けていくというのが戦略です。
そうなってくると、例えばネットで買って設定すればすぐ使えたり、Raspberry Piですぐ仕組みを作れたりといった民主化が必要です。普及元年に民主化するためには、新しい民主化の仕組みを作らなければならないので、投資も上げざるを得ないと思っています。