--データをどのように活用しているか、どんな分析をし、ビジネスに生かしているかを教えてください。
半田氏:私の所属している部門は2016年、分析基盤部からAIシステム部に名前を改めました。
以前は、分析基盤の構築/運用、BIツール/ETLツールの開発などに注力していましたが、今はそれに加えて、ディープラーニングなどの機械学習にも力を入れています。
既存の自社サービスでの活用だけでなく、新規事業のコアとなるような研究開発への投資なども担うようになり、扱うデータも変わってきています。これまでは自社サービスのユーザーの行動ログを扱うことがほとんどでしたが、最近はアライアンス先など外部から取得したものやセンサデータ、動画などを扱う案件も増えてきました。
新規事業やアライアンス事業についてはお話しできませんが、社内の事例としては、CEDEC2016でも発表したような「強化学習によるゲーム自動プレイによる開発支援の取り組み」や、マンガボックスやハッカドールなどのサービスでのコンテンツレコメンドなどがあります。
友部氏:事業やサービスに入り込んで課題を発見をしたり、課題設計をしています。例えば、過去にCEDEC2013でメンバーが発表したようなサービスの盛り上がり具合をユーザーの数(DAU)から読み解き、ゲーム運営に対して適切に示唆を出すような施策です。
設定されたビジネス課題に対してKPIを設計し、仕込むログも設計します。過去の運用ノウハウも相当貯まっているため、ビジネスの相談をされた段階で将来的にどういうことが起こるのか、計算の高速化やストレージへの影響を考慮するとこうすべきだなどの事項がある程度勘所がわかかる状態です。
あとは事業にコミットしているアナリストがいかにサービスのことを熟知して仮説検証できるかにかかっています。
--仮説検証についてどのようなサイクルで回されているのでしょうか。
友部氏:プロダクトのフェーズ(局面)によります。先ほども申し上げたように組織にノウハウが蓄積しているので、継続運用をしていく中でKPIをどのように捉えればよいかを考えます。
そうすると、それに対する分析手法もいくつかパターン化されているので、その中から選択して実施しています。だんだんと安定期に差し掛かっていくと、改善サイクルを洗練させていくかという方向性によっていくために、汎用的な分析方法というよりも個々のゲームの特性などのドメインに特化していきますね。
--その改善サイクルはどのくらいの期間なのでしょうか。
友部氏:ゲームのアップデートのサイクルと同じです。概ね1週間単位でのサイクルが多いですが、性質によっては1カ月サイクルというものもあります。運営のサイクルに準じています。
一緒のチームに入って、一番そのサービスを使うようにして日々の改善に取り組んでいるので、われわれのメンバーは分析への理解度がとても高いですね。あとは分析の基盤が共通化されているので、サービスの改善に注力できているという理由もあります。