ランサムウェア

ランサムウェアはいかに世界的な脅威へと深刻化したか - (page 2)

Steve Ranger (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-05-19 06:30

 WannaCryは、米国家安全保障局(NSA)から盗み出された攻撃ツールを使用しており、非常に高い能力を持っている。このツールは、皮肉にもRogers氏の指揮するNSAが開発したものだ。このことはまた、WannaCryの有効性の背景にある複雑な要因を反映している。

 Coats氏が米上院情報特別委員会に提出した、米国の情報機関による世界的な脅威の評価報告書でも、ランサムウェアが恐喝の道具として使用されることが特に増えていると強調されており、最近ではランサムウェアを使用する犯罪者が医療機関に標的を移していることに言及して、「患者の治療を妨害し、一部医療機関に対する一般市民の信頼を損なっている」と述べている。

 使用されているランサムウェアの種類は50以上に及んでいる上、(WannaCryの流行でも分かるとおり)ランサムウェアを強化するための機能を追加することは比較的容易だ。今回の場合、WannaCryがあれほど効果的だったのは、ユーザーの関与なしにPCからPCに広がる能力を持っていたためだ。

 一部の警察機関やサイバーセキュリティ企業は、ランサムウェアに対して効果的な対策を行っている。たとえば、「No More Ransom」と名付けられた取り組みでは、身代金を払わなくても暗号化されたデータを取り戻すことのできるツールを、数多く提供している。

 しかし、ランサムウェア攻撃の背後にいる犯罪者を発見して告訴することは難しい一方で、ランサムウェアの作成は容易であるため、この脅威が消えることは当面ないだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]