エッジ型Hubの4つの用途
開発中のエッジ型IoTプラットフォームHubは、米HPE製サーバーをベースに、動画や画像などの非構造化データ、構造化データをエッジ側でリアルタイムに処理するもの。データが増えれば増えるほど、すべてのデータをクラウドに送るのは非現実的だからだ。「データセンターがいくらあっても、現場で処理することが重要になる」(山名社長)ので、センサから収集したデータをエッジ側で解析する。アクションも素早く起こせる。
これ以上の詳細な説明はなかったが、高山典久オフィス事業本部WPH事業部長は「Hubの狙いは4つある」と明かす。
1つ目は、中小企業向けITサービスの提供。サーバーなどITインフラの監視やライセンス管理、セキュリティ対策といった基本機能をワンストップで提供するもの。マーケットプレイスから必要なサービスも手に入れられる。「Hubの第一歩になるもので、誰に相談したらいいのか困っている中小企業を支援する」。支払いは買い取りではなく、月額料金とする。地域の販売店や中小IT企業が売り込んでいる市場でもある。
2つ目は、プロセス自動化による生産性の向上。例えば、帳票のデータ入力を自動化し、データ入力のミスや作業工数の削減を図る。
3つ目は、在宅勤務など働き方改革への活用。いつでも、どこからでもデータにアクセスできるセキュアな環境にし、組織や場所、言語を超えたコラボレーションを実現する。
4つ目は、意思決定の支援になる。中長期的なテーマで、社内の音声や画像を含めたデータ分析で、オフィス環境の最適化、人材の有効活用などに活かすもの。AIなども駆使するという。
コニカミノルタがそれらの実現に向けて、自前主義から社外の知恵、ノウハウを積極的に取り込むオープンイノベーションに転換もしている。世界5拠点に顧客の新しい商材やサービスを開発するビジネスイノベーションセンターも約3年前に設置したのも、その一環である。Hubはその成果であり、「製造業として、IoTへの挑戦になる」。今秋、どんな姿を見せるのか楽しみだ。
- 田中 克己
- IT産業ジャーナリスト
- 日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。