ランサムウェア

誰が何のために?--マルウェア「Wannacry」で残る3つの謎 - (page 2)

國谷武史 (編集部)

2017-05-19 17:59

疑問2. Wannacryの初期侵入はどのように行われたのか?

 解析や調査から現時点で判明しているのは、Wannacryが感染元の端末から感染先を広げていく方法で、Wannacryが最初に侵入する方法については分かっていない。

 当初は、典型的な侵入方法とされる偽装メールの添付ファイル、あるいはメールに記載されたリンク先からのファイルダウンロードが有力視された。しかし、どのベンダーも感染源と目されたメールの存在を確認していないという。Wannacryのような大規模感染であれば、「通常なら攻撃メールがすぐに発見されるはず」というのがベンダー各社の見解だ。

 初期侵入の手口を探る1つの手がかりが、Wannacryの拡散方法にあるとする専門家もいる。

 Wannacryが拡散時に使用する脆弱性や、脆弱性の攻撃ツール「EternalBlue」、EternalBlueが端末に仕掛けるバックドア「DOUBLEPULSAR」などは、いずれもShadow Brokersが暴露したものとされる。この暴露が行われた直後、いくつかのセキュリティベンダーは、DOUBLEPULSARに感染している端末が世界中に数十万台存在すると報告し、その後にWannacryの大規模感染が発覚した

 こうした経緯や、Wannacryの感染規模とDOUBLEPULSARの感染規模がほぼ同等であるといった状況から、専門家らが予想するWannacryの初期感染の有力なシナリオは次のような内容だ。

 まず攻撃者は、Shadow Brokersによって暴露された方法をそのまま、あるいは参考にして、ネットワーク経由で脆弱な端末を探索する。脆弱な端末に対してツールで攻撃し、バックドアを仕掛ける。さらに、バックドア通じてワーム機能を搭載したWannacryを送り込み、ここから大規模感染につながった……。

 Wannacryの感染規模は150カ国以上で数十万台以上とされるが、感染台数に対して被害組織の数は少ないという見方もある。その理由は、Wannacryが感染先を探索する際に接続を試みるポート445/TCPを、多くの企業ではインターネット側には閉じており、LANなど内部ネットワーク側には開いているためだというものだ。

 情報処理推進機構(IPA)やJPCERT コーディネーションセンター(JPCERT/CC)などによれば、モバイル接続ができる持ち出し端末での感染ケースが報告された。持ち出し端末がオフィスの外などでインターネット接続された際にWannacryに感染し、その端末が感染元としてオフィス内のLANにも接続されたことで、組織内部に感染が拡大した可能性を指摘するもある。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]