IDC Japanによると、IaaS環境構築管理ソフトウェア「OpenStack」とコンテナ管理ソフト「Docker」は、検討と計画の段階から実装の段階へと移行しており、2017年は普及元年になるという。同社が実施したユーザー調査から明らかになった。
サーバ仮想化を導入している企業と組織を対象としたアンケート調査を2017年3月に実施。464社から有効回答を得た。2016年3月に実施した前回調査とも比較している。
OpenStackの導入状況では、「本番環境で使用している」という企業は10.6%となり、前年調査の7.0%から3.6ポイント上昇した。さらに「開発、テスト、検証段階」の企業は14.4%で前年調査の8.3%から6.1ポイント上昇している。
IDC Japanは、およそ4分の1の企業が、OpenStackの実装を進めているとした。また、「使用する計画、検討がある」と回答した企業の割合は前年よりも減少しており、計画や検討の段階から具体的な実装の段階に入った企業が増加したことが明らかになった。
OpenStackの導入状況(出所:IDC Japan)
Dockerの導入状況では、「本番環境で使用している」という企業は6.0%で、前年調査の3.7%から上昇した。「開発、テスト、検証段階」の企業は13.1%で、前年調査の5.2%から7.9ポイントの上昇。 また、「使用する計画、検討がある」と回答した企業の割合は前年よりも減少しており、こちらも具体的な実装段階に入った企業が増加したことが分かった。また、Dockerを使用している企業の34.8%が、コンテナ管理ツール「Kubernetes」を私用しており、主流になりつつあるという。
Dockerの導入状況(出所:IDC Japan)
また、OpenStackやDockerを使用していく上での課題についても明らかになった。
OpenStackでは、「OpenStackに精通しているエンジニアが少ない」が25.0%という回答が最多となった。これは、前年調査と同様の結果。次に「半年ごとのメジャーリリースに追従できない」と「OpenStackの信頼性に不安が残る」が17.2%で続いた。前年調査で28.6%と回答率が高かった「セキュリティの脆弱性に不安がある」は13.8%に下がり、セキュリティへの不安は解消されてきている。
Dockerについては、「Dockerに精通しているエンジニアが少ない」が24.7%と最も回答が多くなった。前年調査で同様の回答は19.5%で、Dockerの需要増加に対してエンジニアの供給が追い付いていない状況がうかがえるという。その次には、「セットアップや運用管理のためのドキュメントや公開情報が少ない」が18.0%、「Dockerコンテナ環境の運用管理が難しい」が16.9%で続いている。
IDC Japanは、OpenStackとDockerが普及元年を迎える一方で、エンジニア不足の課題が露呈する1年になると指摘している。こうした状況に対し、国内IT業界を挙げてエンジニアの早急に育成していくべきだとした。