ジョブズとダヴィンチの共通点--「30年前のiPhone」を生んだアートとロジック - (page 3)

増村岳史

2017-06-03 07:00

 データビジュアリゼーションの事例を紹介しよう。


取材協力:Takram

 こちらは日本にある主要空港の飛行データを日本地図上にビジュアルマッピングしたものだ。

 こちらを羽田空港の職員に見せたところ彼らが大きな感銘を受けたそうなのだ。

 彼らは毎日当然のように飛行機の離着陸を目の当たりにしている。飛行データをビジュアル化して見ることにより空の上で飛行機が高密度な空間の中で、計算されつくして動いている様に自分たちの仕事の意義に改めて気づいたらしい。

 つまり、日々の業務の結果を俯瞰しビジュアルで確認できたことによって新たな気づきがあったわけだ。

 この気づきの源は、まさに論理的で左脳的な日々の仕事を、感覚をつかさどる右脳的な感性でとらえることによって得られた発見にあるのではないか。

 このデータビジュアリゼーション、現在、地方創生や通信分野などさまざまな分野で活用されている。

 da VinciやJobsの作品や製品も、このデータビジュアリゼーションも論理の力と感性の力との統合と融合が新たな価値観をわれわれに提供している。

 そういえば、以前見たテレビ番組で1984年に元Appleの最高経営責任者(CEO)のJohn SculleyがJobsから見せられた模型についてSculleyがスケッチしたビジュアルメモを思い出した。そのメモにはMAC PHONEと記されており、未来の電話とジョブスが語っていたものーー。まさにiPhoneの原型だ。


世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ(2011年 NHK)から引用

 今から30年以上前にジョブスはiPhoneのイメージデッサンを仕上げていたのである。

 論理的で左脳的な日々の仕事を、感覚をつかさどる右脳的な感性でとらえるために、読者の皆さんもたまにはデッサンをしてみてはいかがだろう。

増村岳史
学習院大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。マーケティング、営業を経て映画、音楽の製作および出版事業を経験。リクルート退社後、音楽配信事業に携わったのち、テレビ局や出版社とのコンテンツ事業の共同開発に従事する。2015年アートと人々との間の垣根を越えるべく誰もが驚異的に短期間で絵が描けるART&LOGIC(アートアンドロジック)を立ち上げ現在に至る。

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