産学連携の新世紀

大学をコンサルタントに--「組織対組織」の産学連携が導くイノベーション:経産省

飯田樹 2017年06月15日 07時00分

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 テクノロジとアカデミア、ビジネスの関係をさまざまな事例から解き明かしている本連載。今回は、「産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック」のパイロット版を発表した経済産業省で、同省による産学連携への取り組みと、企業が産学連携を試みる際に気をつけるべきことを聞いた。

 同省産業技術環境局 大学連携推進室 室長補佐(企画調整)渡邉雅士氏と、産業技術環境局 次技術進行・大学連携推進課 大学連携推進室 室長補佐 田村直寛氏が対応した。

--まず、今回のファクトブックを発表された経緯をお聞かせください。


同省産業技術環境局 大学連携推進室 室長補佐(企画調整)渡邉雅士氏

 渡邉氏:産学連携の推進には以前から取り組んでいましたが、企業と大学を連携させて共同研究を行うことが、「第4次産業革命」や、「Society 5.0」を支える一つの手段として出てきました。背景には、安倍政権による「GDP600兆円」の目標を実現するための技術課題である、”企業独自での研究開発の限界”があります。2016年9月には政府の成長戦略で、産業界から大学と研究開発法人への投資を、2025年度までに現在の1%から3倍にするため、「組織対組織としての産学連携」という方針が打ち立てられました。

 今までの産学連携は、一研究室の教授と一企業の研究者が小規模に行うことが多く、200万〜300万円規模の事例が全体の8割を占めている状態でした。総額としては伸びていても、海外の10億規模の事例と比べると小粒で、組織として次につながっているのかは、疑問が多い状況だったのです。

--小粒にとどまってしまう理由には何があるのでしょうか。

 渡邉氏:企業の視点が研究開発の成果よりも、研究室の学生を“青田買い”的に使おうとすることや、企業側が自分たちの営業秘密を出さないため、大学はデータをもらったり試験をするだけで、ある意味下請けのようになっているパターンが多くありました。

 田村氏:大学の先生と企業の人で個人的に昔から付き合いがあったという場合もありますね。

 渡邉氏:金額に関しては、企業の一課長や一部長の決裁権限額の範囲にとどまっている状況です。規模を大きくするためには、「組織:組織での連携」が必要なため、2016年11月に文科省と「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」を作りました。大学が産学連携を進めるために必要な取り組みの改善を示しており、大学にある産学連携本部の機能強化や、研究価値をどう見極めて企業からお金を得るのか、マネジメント体制の在り方などを扱っています。

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