産学連携の新世紀

大学をコンサルタントに--「組織対組織」の産学連携が導くイノベーション:経産省 - (page 4)

飯田樹

2017-06-15 07:00

--いざ企業として取り組もうとしても、前例がないと難しかったり、予算の確保などでの煩雑さを懸念する声もあると思いますが、それでも取り組むメリットは何でしょうか。


産業技術環境局 次技術進行・大学連携推進課 大学連携推進室 室長補佐 田村直寛氏

 田村氏:大学の研究には、学問的にも技術的にもかなり上流の方で、将来的な可能性のある技術を扱われているものが多くあります。そういった、企業でも「企業が年月をかけないと生まれない種を買ってくる」という形もあると思いますし、共同研究を通じて、大学にある最先端の技術に関するノウハウを、自社の課題の解決に使っていく方向性もあります。

 渡邉氏:製品がコモディティ化、大量生産化していくと、中堅企業は弱くなり、事業の延長でエッジの効いた技術を持つことが必要になります。その時に、その道をずっと見ている先生とであれば、新しい共同研究ができるんですよね。ゼロから新しい技術を生み出すのではなく、今の技術の延長線上にある技術は、大学だからこそ持っている面があると思います。

--学問は細分化してニッチになる傾向があり、企業は広く使える技術を欲しがる傾向があると思うのですが、最初のマッチングは難しくありませんか。

 渡邉氏:今回のファクトブックでは知財に関して細かく載せており、今後出す予定の正式版では、マッチングが可能かを含めた追加情報を集めていきたいところです。特に、地方の大学にある技術は地域を越えて発信されないケースもあるので、データ化できないかと思っています。その土地だからできる研究もありますし、論文としての新しさがないとして中央の大学が止めてしまった研究を続けていることもあります。例えば、自動車業界に必要な燃焼工学がその一例です。

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