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量子コンピュータで広告配信を最適化する--リクルートが研究に本腰 - (page 3)

田中宗

2017-06-05 07:00

 棚橋:発展中の技術ゆえに乗り越えなければならない課題も数多く存在します。しかしそれは実際に使ってみないと分かりません。実際に試してトライアンドエラーを数多くすることによって、課題解決にすぐに取り掛かることができます。

 私自身、実際に量子アニーリングマシンを使ってみて初めて気がついた特徴がたくさんあり、それを解決、改善するための手法開発に取り組んでいます。また、最先端技術に常に触れられるというこの活動自体が楽しく、常にワクワクしています。

ーー最先端技術だからこそ、いち早くそれに触れて高速で試行錯誤しながら成果を出していくことに意味がありますよね。D-Wave Systemsを訪問して実際にD-Waveを見てきたり、実際にD-Waveを利用して感じたことは何かありますか。

 高柳:使用してみて、D-Waveに解きたい問題を載せる際、どのように定式化を行うかをしっかり考える必要があると感じました。定式化の方法によっては効率が悪い場合もあります。

 また、膨大なデータをどのように入力すると効率のよい計算が実行されるか、などのノウハウ構築がこれからの課題になると考えています。

 本橋:D-Wave Systemsを訪問して最も印象的だったのは、D-Waveの外側のシールドの開発者が「われわれは、地球の磁場と戦っている」と言っていたことです。D-Waveは地球の磁場がノイズとなってしまうため、これを遮断する必要があるわけですが、そのような事まで考えられて作られているのは壮大かつ繊細な技術だと感じました。

 また使用してみて、プログラミングによっては、量子アニーリングマシンを使わない部分(通信やデータの準備)で時間がかかってしまうことがあるので、量子アニーリングマシンの性能を引き出す構成を考える必要があると感じています。

 棚橋:D-Waveを実際に使ってみて、ボタンを押してほんのわずかな時間で数千個の計算結果が返ってきたのを目の当たりにして、なんて速いんだ! と思うと同時に、これはすごい技術になると興奮しました。

 この時、多くの人が量子アニーリングに夢中になる理由がわかる気がしました。実際のD-Waveマシンは冷蔵装置がシュポ、シュポという音を出しながら動いており、無数のむき出しの配線や回路から成る装置に量子チップが配置されている様はSF映画そのものでした。


D-Wave Systems社内にある最新のD-Wave 2000Qの前で

 <後編に続く>

田中 宗(たなか しゅう)
早稲田大学高等研究所准教授、JSTさきがけ研究者
博士(理学)。近畿大学量子コンピュータ研究センター博士研究員、東京大学大学院理学系研究科にて日本学術振興会特別研究員(PD)、京都大学基礎物理学研究所基研特任助教、早稲田大学高等研究所助教を経て、2017年より現職。また、2016年10月よりJSTさきがけ研究者を兼任。専門分野は物理学、特に、量子アニーリング、統計力学、物性物理学。NEDO IoTプロジェクト「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」委託事業における「組合せ最適化処理に向けた革新的アニーリングマシンの研究開発」に従事している。量子アニーリングの研究開発を加速させるため、多種多様な業種の方々との情報交換を積極的に行っている。

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