Microsoftは冒頭で述べたようにAIを中核において、既存製品にAIを組み込むリニューアルを発表しているが、「AIでビジネスプロセスの再構築が重要。我々はMicrosoft Graphとビジネスデータを足し合わせることで、想像を超えたアプリケーションにつながると考える」(Guggenheimer氏)と述べ、金融や医療、流通といった業界の垣根を越えて、AIを活用したビジネスプロセスと業界構造の変化が必要だと訴えた。
その具体例として、保険会社のチャットボットシステムを披露。ユーザーが用いる言語に応じて自動的に使用言語を切り替え、チャットボットからの質問に応じて保険額を自動生成して、価格に不満がある場合は人間の担当者が応答していた。さらにMicrosoftは、Dynamics 365ダッシュボードで会話履歴の確認や、予測モデルを用いた価格割引提案、Power BIダッシュボードによるマーケティングキャンペーンの必要性を可視化なども可能だと説明する。

チャットボットがユーザーの使用言語に応じて切り替わるデモンストレーションを披露。担当したのはMicrosoft Principal Developer Manager, Josh Holmes氏

Microsoft CVP Data Group, Joseph Sirosh氏
登壇者がMicrosoft CVP Data Group, Joseph Sirosh氏に変わると、「我々は『AIの特異点』を目前にしている。(AIで)これから数十年先の生活・仕事が変化する」(Sirosh氏)と述べつつ、革新的なアプリケーションの構築方法として「Intelligent DB」「Intelligent Lake」「Deep Intelligent」の3つが重要であると語った。Intelligent DBはデータが存在する場所に"知性"を持ち込むというコンセプトで、「SQL Server 2017」「R Server 9.1」「Azure Cosmos DB」を紹介。
Intelligent LakeはPB(ペタバイト)級のデータをDBに適用する方法として、「Azure HDInsight」「Azure Data Lake」を取り上げた。顔認識や画像のタグ付け、顔の感情分析、OCR、文章から重要語句の抽出、文章の感情分析と6つの認知機能を備えるAzure Data Lakeを指して、Sirosh氏は「Big Cognition(大きな認知)」とアピールした。そしてDeep Intelligenceは、ドローンを使って電線の検索や保守を行うノルウェーのeSmart Systemsを事例として、物体認識の精度を高めるため深層学習を用いていることを紹介。
このように深層学習が多くの場面で利用されている状況を踏まえて、MicrosoftはAzure Data Science Virtual Machineを用意したと説明する。