ゲノム解析におけるハイパフォーマンスコンピューティング利用を高度化する取り組みで、数カ月前にBroad Institute of Harvard and MITとの連携を拡大したIntelが、ゲノム研究を進める上での複数のマイルストーンを明らかにしている。
IntelとBroad Instituteは、Broad Instituteがこれまで用いていたゲノム解析パイプラインを最大で5倍高速化できる、「Broad-Intel Genomics Stack」(BIGstack)と呼ばれる新たなリファレンスアーキテクチャを開発した。このアーキテクチャでは、IntelのCPU、Omni-Pathファブリック、SSDが使用されているほか、Intelが今後発売する予定のCPUとFPGAの統合製品向けの最適化も施されている。
Intelのデータセンターソリューショングループでコーポレートバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるJason Waxman氏は、ブログ記事の中で、この新アーキテクチャは「まったく前例のない規模」のデータサイズに対応していると述べている。
同氏はさらに、ゲノム解析におけるこの種の進歩は、「がんなどのドライバー分子に関する理解や、プレシジョンメディシン(個人の遺伝子、環境、ライフスタイルに応じた予防法・治療法を確立する医療)実現の加速に向けて、新たな一歩を踏み出すことを可能にする」と付け加えた。
BIGstackは今回、Broad Instituteが提供する「Genome Analysis Toolkit」(GATK)の登録ユーザー4万5000人に公開された。Intelは2016年11月に、Broad Instituteと2500万ドル規模のパートナーシップを結んだが、Waxman氏によれば、BIGstackはまさしくこの取り組みで目指していた「ゲノム分析コミュニティにとっての調達可能性のブレークスルー」のようだという。
また、Broad Instituteが「GATK4」をオープンソース化することも明らかになった。
さらに同ブログ記事では、中国のゲノム解析大手企業Beijing Genomics Instituteが、同社のプラットフォーム「BGI Online」に、GATK4、Broad Instituteのワークフロー管理システム「Cromwell」、「WDL」(ワークフロー定義言語)を導入することも発表された。Waxman氏は、この動きは世界のゲノム研究の連携を促進するものだと述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。