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第2回:要求だけでは使い物にならない?--要件定義で最初に気を付けるべきポイント - (page 4)

村岡恭昭 (IPA/SEC技術研究員)

2017-05-31 07:00

目的に沿った最適な構築手段を選択するには

巣鴨課長:ところで、今回構築するウェブ受注サイトだけど、どういう手法で構築するか考えている? 何を選ぶかによって、ずいぶん費用も変わるし、要件定義の進め方も違ってくるよね。

 青天井にコストを掛けていいプロジェクトなんて存在しないと思いなさい。大抵は、「サービス開始後に得られるはずの利益の3年分」が妥当な金額だ。それに、開発に掛ける期間も示さないといけない。

千石君:サービスの立ち上げって、全部開発するのかと思ってました。他にどういう手法があるんでしょうか。

巣鴨課長:システム構築には、全面的に開発する方法から、なるべく開発しないで済ませる方法まで選択肢がある。以下の表を参考にしてごらん。

システムを構築する方法

千石君:課長、ひょっとしてご親戚に白山さんという方はいらっしゃいませんか。

巣鴨課長:いないけど、何で?

千石君:いえ、何でもないです。つまり、一から開発するばかりが能じゃないということですね。

巣鴨課長:うちは、システム開発以降は外部に委託している。一からシステム構築を依頼すれば、大抵の要件は実現できるけど、コストが高く付く。使えるパッケージや流用できる素材があるなら、なるべく既存のものを使うのが、安価かつ短期で構築を終わらせるのには効果的だ。ただし、それにもリスクがあるから、注意が必要だけどね。

千石君:こうやって表にしてみると、それぞれのメリットとデメリットがよく分かりますね。

巣鴨課長:ウェブ受注サイトを構築するのに最適な方法がどれか、まずは当たりを付けてみよう。その上で、その方法にあった要件定義の仕方を決めて、スタートすればいい。

 大切なのは、「今回のプロジェクトではどの手法が最適か」を指針にすることだ。目的と指針を明確して、プロジェクトメンバーの意見を聞いてみよう。

プロジェクトパターン

千石君:課長、どうやら、今回のプロジェクトには2番目の手法が向きそうですね。どの案も100点じゃありませんが、2番目なら何とか要求と予算、期間がマッチしそうです。

巣鴨課長:そうだね。結論を出すのはまだ早いかもしれないけれど、妥当な選択のように思えるね。じゃ、まずこれを方針にして、要件定義の詳細を計画しようか。

千石君:ちなみに、もし開発がスタートしてから予算オーバーした場合には、どうすればいいんでしょうか。

巣鴨課長:それは次回以降に説明しよう。一番の解決策は、わがままを言うメンバーの口封じをするっていうのがいいんだけどね。私はやったことないよ。

●要件定義に悩むユーザー企業担当者必携の一冊
ユーザのための要件定義ガイド ~要求を明確にするための勘どころ~

ユーザのための要件定義ガイド(1574円+税)
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 要件定義についてもっと詳しく知りたい人は、IPA/SEC編の『ユーザのための要件定義ガイド ~要求を明確にするための勘どころ~』を入手してほしい。

 本書は、主にユーザー企業でITシステムの要件定義を実施する読者を対象に、要件定義において発生する問題と、その解決方法をまとめたガイドブックだ。

 システム開発で発生する問題の半分は、「要件定義」の不備に起因していると言われている。要件定義の不備は、工程が進めば進むほど修正に多大な労力が必要となる。要件定義を行う課程では、明確な目標の設定、膨らむ要求のコントロール、業務の複雑性の軽減、多様なステークホルダーとの合意など、さまざまな課題に直面する。これらを適切に対応すれば、「工程進行後に多大な修正が発生する」といった問題の発生を抑制できる。

 本書では、こうした問題について、熟練した有識者がこれまでのプロジェクト経験から「ありがちな間違いとその解決策の勘どころ」を、具体例を挙げて分かりやすく解説している。

 本書は一般書店にて、1574円(税別)で販売しているほか、IPA/SECのサイトからもPDF版を無償でダウンロードできる。本連載と対応させながら、ぜひ読んでほしい。

村岡 恭昭

情報処理推進機構 技術本部ソフトウェア高信頼化センター システムグループ 研究員

>村岡恭昭氏

1983年、富士通入社。アプリケーションのコンバージョンやソフトウェアリエンジニアリングサービスの開発に携わる。また、パッケージ開発やシステム開発受託にプロジェクトマネージャーとして従事。

IPA/SECでは、重要インフラ分野のITシステムの障害事例からの教訓作成と共有の活動や、システム構築における上流工程強化に関する活動を担当。『情報処理システム高信頼化教訓集(ITサービス編)』『ユーザのための要件定義ガイド』の編纂にも携わる。

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