「AIやロボティクスが注目される今だからこそ、人間が担うべきスキルの領域を確認する必要がある」――。アクセンチュアが、デジタル時代の雇用や働き方の未来について開催した説明会で登壇した戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 高砂哲男氏の指摘だ。
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 高砂哲男氏
日本は少子高齢化による生産年齢人口減少に直面しており、日本政府はAIなどのテクノロジを使って利用してこれに対応しようという国家戦略を立てている。
一方、アクセンチュアが2016年11~12月にビジネスマン1万人にウェブで実施した調査の結果は「戦略」に沿っているとはいいがたい。AIやロボティクスといったテクノロジ関連のキーワードが注目される中、日本はテクノロジに対し「脅威である」と感じるビジネスマンの割合が調査対象であるG20加盟国10か国のうち最も高かったのだ。
また、調査では日本のビジネスマンの特徴として「スキルアップに前向きではありつつも、具体的な行動に移せておらず、そもそも習得すべきスキルが認識できていない人が多い」という結果が出たという。
こうした調査結果から、日本の雇用者の特徴をとらえた上で、日本を取り巻く環境の変化に言及した。具体的には下記の4つがある。
・「AIやロボティクスなどテクノロジの進化浸透により雇用の置換や創出がなされつつある」
・「職業人生が長くなっているのに、企業寿命は短くなりギャップが拡大している」
・「働き手の中心が45歳以上シフトするなど、労働力が高齢化している」
・「仕事に対する価値観が多様化しているため、マネジメントが難しい」
同社では、こうした環境の変化に対応するため、従業員が能力を上げて付加価値を最大化する「スキル革命」が重要であると主張する。スキル革命が目指す姿とは、「AIやロボティクスといった機械に代替させる領域(ルール化できる仕事や職務)から、人が担うべき付加価値の高い領域に人材をシフトすること」であるとした。
日本はテクノロジに対し「脅威である」と感じるビジネスマンの割合が調査対象であるG20加盟国10か国のうち最も高かった N=1万527人 2016年11~12月にビジネスマン1万人にウェブで実施