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Sapphire Now

「S/4 HANAへの大移動が始まった」--次の”インテリジェントな業務アプリケーション”を語るSAP共同創業者

末岡洋子

2017-05-26 07:30

S/4 HANA時代が到来、インテリジェントに向け土台が整う

 SAPが5月中旬、米オーランドで開催した年次カンファレンス「SAPPHIRE NOW 2017」では、機械学習や高度なアナリティクスがテーマとなり、これらが実現する次世代のエンタープライズアプリケーションに向けた大きな一歩を踏み出したことを印象付けた。共同創業者でこの分野のビジョナリーとして知られるHasso Plattner氏が2日目に行った基調講演をまとめる。

 Plattner氏はまず、「Business SuiteからS/4 HANAへ、移行にあたっての課題はほぼ解決したと思っている」と切り出した。インメモリ技術HANAを土台とするS/4 HANAを発表以来、S/4 HANAに移行する必要性を説いてきたが、「大移動が起こっている」とし、顧客の理解は得られたという判断を示した。

 S/4 HANAはパブリッククラウド、プライベートクラウド(HANA Enterprise Cloud)、オンプレミスの3種類の実装が可能だが、「クラウドのS/4 HANAがビジョン」とPlattner氏は述べ、クラウド時代にS/4 HANAを土台とする「インテリジェントなエンタープライズアプリケーション」という本題に入った。

SAPはこの日「SAP S/4 HANA Cloud 1705」を公開している
SAPはこの日「SAP S/4 HANA Cloud 1705」を公開している

 ”インテリジェントなエンタープライズアプリケーション”とは、AI時代の業務アプリケーションといってもいい。Plattner氏は1年前にERPにAIを取り込んでいくことを明らかにしていたが、この日は「AIの時代になった」と宣言した。

 ベースにしているのはHANAの高速さだ。ハードウェア側について、Plattner氏は、CPUのマルチコア化、GPUなどにより安価に手に入るようになったとする。「データ、処理能力、拡張性。新しいことができる土台がそろった」(Plattner氏)。

 SAPが買収したSucessFactors、Ariba、ConcurなどのSaaSについても、買収前にデータベースとして採用していたOracleからHANAへの移行が進んでいるという。Plattner氏によると、2018年末には全てがHANAベースになるとのことだ。

CPU、GPUの進化により「キャパシティのコストはほとんどゼロ」と、Plattner氏
CPU、GPUの進化により「キャパシティのコストはほとんどゼロ」と、Plattner氏

SAP LeonardoとSAP Cloud Platformで実現――AIはシステム内部に

 SAPが描く新しいビジネスアプリケーションとは、SAPが今年のSAPPHIRE NOWで正式発表した「SAP Leonardo」とSAP Cloud Platformが基本要素となる。

 SAPはこの一年、IoTのサポート、1年前に発表した機械学習の導入、アナリティクスツールセットの書き直しなどを進めてきた。Leonardoはその集大成とも言えるが、「Leonardoはシステムではない。新しいスタイルのアプリとサービスを構築するためのツールセット」とPlatter氏は説明する。

 初日の基調講演で詳細が明かされたように、Leonardoには、機械学習、IoT、アナリティクス、ブロックチェーンなどの技術とツールが含まれ、これをS/4 HANAと利用してアプリケーションをスマートにできる。

 「ソフトウェア企業から航空会社まで誰もがAIを使ってインテリジェントなアプリケーションを構築している」とPlattner氏、「AIでは信じられないようなことが可能だ。(アナリティクスと違って)人間と同じような複雑なことができる。相関関係を見出すことができる」とPlatter氏、さらには「人間は疲れるが、機械は疲れない」と付け加えた。

 SAPの差別化は、「SAPシステム内部にAIがある」点だ。「データを取り出すことはデータウェアハウス、データマートでやったが、私は本来この考えに反対だった。安全かどうかはわからない。Leonardoではデータベースから結果だけを出す」とPlattner氏。「インテリジェンスをシステムの中に、データの上に置く。あるいは他のシステムのデータを持ってきて、この上にインテリジェンスを置く。Leonardoはこれらのアプリケーションの土台となる」とした。

 SAPでは現在、約20種類の機械学習アプリケーションを構築中という。インテリジェントなビジネスアプリケーションの要素となるのが、繰り返しの作業を自動化するインテリジェントなトランザクション、全員がデータ主導の洞察を得られるアナリティクス、コラボレーション、デジタルアシスタントの4つを挙げた。

 例えばインテリジェントなトランザクションでは、「SAP Accounts Payable」を紹介した。請求書からデータを自動抽出することで数分かかっていたデータ化を数秒に改善する。それだけでなく、人による手作業につきもののエラーを削減し、規制順守も自動化できる。SAP社内でもAriba、Concurなどで使っており、95%の請求書に対応できるという。

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