大量データ処理の需要拡大に伴い、ストレージ市場は今、かつてない活況とともに激戦区となっている。その中でいち早く最新技術の「フラッシュ」を全面的に採用し、急成長を遂げているのが米Pure Storageだ。
その躍進ぶりは製品力もさることながら、同社ならではのビジネスモデルが大きな原動力になっているようだ。日本市場でもそのモデルを強力に訴求していきたいというピュア・ストレージ・ジャパン社長の田中良幸氏に、その内容や狙いを聞いた。
ピュア・ストレージ・ジャパン代表取締役社長の田中良幸氏
ストレージではなく「データプラットフォーム」を提供
Pure Storageは2009年設立のベンチャー企業だが、オールフラッシュストレージ・ベンダーとしては草分け的存在で、急成長を続けている。その日本法人であるピュア・ストレージ・ジャパンは2013年2月に設立。田中氏は今年2月に社長に就任した。
オールフラッシュストレージは、不揮発性の半導体メモリであるフラッシュメモリを全面採用したことにより、設置スペースや消費電力を低減しながら、ハードディスクベースのストレージよりも大幅に高速な処理を行えるようにしたのが特徴だ。
ビッグデータ時代に対応する非常に有望なストレージ製品として注目されており、今では需要拡大とともに新旧ストレージベンダーがこぞって製品を展開している。ただ、これまで普及に向けた大きな障壁になっていたのは、従来のハードディスクベースのストレージに比べて価格が高いことだった。
そこでPure Storageは、オールフラッシュストレージの管理ソフトウェアに、独自のインライン重複排除や圧縮機能を搭載することで、容量単価をハードディスクベースのストレージ並みに抑えた製品群を提供。そのコストパフォーマンスの高さで一躍注目を集める形になった。
同社では、そうしたコストパフォーマンスの高い自らの製品群を、ストレージではなく「データプラットフォーム」と位置付けている。なぜか。それは図1に示すように、さまざまなソフトウェアから取り込まれたデータを生かすための機能やサービスを実装しているからだ。
ピュア・ストレージが提供する「データプラットフォーム」(出所:ピュア・ストレージ・ジャパンの資料)
そして、このデータプラットフォームの提供形態として、「EVERGREEN」という施策を打ち出している。実はこの施策こそが、冒頭で述べたように、同社の躍進ぶりの大きな原動力となっているビジネスモデルなのである。